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ブッシュ米大統領は１７日午後８時（日本時間１８日午前１０時）から、ホワイトハウスで武力行使に向けた全米向け演説をする。イラクのフセイン大統領に数日以内の亡命を呼びかけ、応じない場合は、早ければ今週半ばにも米英軍を主体とする多国籍軍による攻撃に踏み切る内容になる。
フセイン大統領が亡命に応じる可能性は極めて低く、開戦はほぼ不可避の情勢だ。米国は、フセイン政権の打倒を掲げており、イラク情勢は９１年の湾岸戦争終結以来、最も緊迫した局面を迎えた。
フライシャー大統領報道官によると、大統領は演説で、「軍事的な紛争を避けるためにフセイン（イラク大統領）はイラクを離れなければならない」と述べ、フセイン政権に「最後通告」を与えることを明らかにした。亡命の期限として４８〜７２時間程度の猶予を与え、フセイン政権幹部の亡命による武力行使回避の最後の可能性を探りつつ、国連職員、援助団体や報道関係者の退避を勧告する見通しだ。
報道官は、イラクの首都バグダッドについて、「安全な場所とはならないだろう」と述べ、空爆などの攻撃対象になることを示唆した。
また、大統領は、フセイン政権が大量破壊兵器を保有していることを改めて明言。フセイン政権を打倒し、新生イラク国家による大量破壊兵器の廃棄に取り組む方針も示す見通しだ。
報道官は「国連はイラクに対し、即時の武装解除を求める要求を履行させることに失敗した。その結果、外交の窓は閉じられた」と述べ、ブッシュ大統領が１６日の英スペインとの首脳会談で示した「決着の時」が来たことを明言した。
報道官によると、ブッシュ大統領は１７日朝、ブレア英首相、アスナール・スペイン首相と改めて電話で協議。国家安全保障会議（ＮＳＣ）を開き、パウエル国務長官から報告を受けた。
パウエル国務長官も同日午前、記者会見し、「イラクは決議１４４１の意図を理解しなかった」と述べ、イラク側が「重大な違反」を重ねたことを断定。新たな決議なしでの武力行使の正当性については、「決議６７８、６８７、１４４１に基づく行使は可能だ」と述べ、国際法上の違反は生じないと主張した。
フセイン大統領亡命の期限については、「大統領が明らかにする」としたうえで、亡命の対象には、フセイン大統領の家族、イラク政府・軍、バース党の幹部が含まれることを明らかにした。
また、決議案を取り下げた理由としては、「フランスによる拒否権の行使が明らかだったためだ」と説明した。
ブッシュ米大統領は昨年９月の国連総会で、イラクによる大量破壊兵器開発、保有の問題を国連が取り組むよう要請。安全保障理事会は同１１月、イラクに即時、無条件の武装解除を求める決議１４４１を全会一致で採択した。同決議には、イラクが履行に応じない場合、「深刻な結果に直面する」との内容で武力行使による強制的な履行があることを明記した。武力行使に対する国内世論の高まりなどから、英国は１４４１の内容を再確認し、事実上武力行使を容認する新たな決議案を今年２月に米、スペインと共同提出した。しかし、査察の継続を求める仏独などが強く反発し、フランスが拒否権の行使を明言したことから、国連安保理の協議は行き詰まった。
１６日に大西洋のポルトガル領アゾレス諸島で開かれた米、英、スペインの３カ国首脳会談で、３カ国首脳は、国連による外交努力を１７日で打ちきることで合意。この合意を受けて１７日、英国は、決議案を取り下げ、採決を見送った。
(03/18 01:54)
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