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米軍の対イラク攻撃の影響を直接被るトルコ南東部のクルド人は、今回の攻撃に強く反対している。15年前、イラクのクルド人自治区ハラブジャで多数の住民が犠牲となった虐殺事件がその脳裏から離れない。今回の開戦後、イラクから化学兵器で攻撃される懸念がぬぐえないのだ。
トルコ・イラク国境の町シロピで16日、ハラブジャの虐殺を記念する集会が開かれた。地元住民に加えて近郷から集まった500人以上の住民は、口々に「戦争反対」「ハラブジャの悲劇を二度と起こすな」と訴えた。
シロピに住むハチタヒィールさん(72)は「殺されたのはクルドの同胞。幾人の同胞がサダム(フセイン・イラク大統領)に殺されたことだろう。また戦争となれば再び同胞が殺される」と顔を曇らせた。
15日にはディアルバクルで、同事件を記念するパネル・ディスカッションも開かれた。事件を報じた映像が上映されると、400人以上の参加者からすすり泣きが漏れ、「どうして世界は我々クルドを見捨てたのだ」と怒りの声が挙がった。【シロピ(トルコ南東部)で、山科武司】
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ハラブジャの虐殺
イラン・イラク戦争(80〜88年)中の85年以降、イラク北部でクルド人組織はイランと協力し、イラクに対するゲリラ闘争を展開した。これに対し、イラク軍は88年3月、北部のスレイマニア州ハラブジャでの戦闘で化学兵器を使用とされる。サリンやマスタードガスなどが使われたとみられ、当時のイラン外相は国連事務総長に、クルド人住民約5000人が死亡したと抗議の親書を送っている。
このため、米国のブッシュ大統領は対イラク攻撃の正当性を世界に訴えるため、この虐殺事件にたびたび言及。ポルトガル領アゾレス諸島での米、英、スペイン三首脳会談でも大統領は「事件は15年前のきょう起こった」と引き合いに出した。
だが、元米中央情報局(CIA)当局者は、犠牲者には当時、イランしか保有していなかったシアン(青酸)ガスで死亡した兆候があったと指摘、「毒ガスはイランのものだった」と証言する。また犠牲総数が数百人との異説もあり、真相はやぶの中だ。【高橋宗男】
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-21:52 )