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「世界にとって決定的な日となる」――。ブッシュ米大統領が17日で外交努力を打ち切ることを明確にしたことで、イラクへの武力行使は秒読みの段階となった。防衛態勢を整えるイラクからは国連査察団やメディア関係者が次々に出国し、「人間の盾」として残る日本人の家族は心配を募らせる。一方、開戦を前にスポーツ界では大会が延期されたり、海外への旅行者数が低迷するなど、影響は各方面に広がっている。
外務省邦人保護課によると、17日現在、イラクに滞在している日本人は38人。このうち国連や非政府組織(NGO)の職員、報道関係者らを除く10人が、イラク攻撃反対を訴えて入国し「人間の盾」に志願した人たちとみられる。新たに約10人が、20日に成田空港からヨルダンを経てバグダッドへ向かう計画を立てている。
同課の担当者は「事態は差し迫っている。現地の日本大使館職員はすでに引き上げたが、入国した人の滞在先が分かれば、引き続き電話などで退避を求めていく」と話している。
現在も「人間の盾」としてバグダッドに残っているとみられるフリーターの男性(23)の母親は「連絡はないし心配でならない。こんな事態で、現地にとどまることに何の意味があるのか」と話す。
■スポーツ
今月6日からアラブ首長国連邦(UAE)で開催された欧州男子ゴルフツアー、ドバイ・デザート・クラシック。タイガー・ウッズ(米国)は「この時期の中東遠征は賢明ではない」として欠場した。日本や米国などが参加し同国で25日から開催予定のサッカーの世界ユース選手権は延期が決まった。ドバイ政府観光商務局駐日代表事務所は「ドバイは安全でホテルの稼働率も8割に達する。誤った判断がされている」と嘆く。
日本サッカー協会は3月下旬に予定の米国遠征をいったん中止したが、米サッカー協会から「米連邦捜査局(FBI)や米中央情報局(CIA)も動員し、国を挙げて守る」と説得され、予定通り遠征することに。24日からワシントンで開催されるスケート・フィギュア選手権の名誉会長にブッシュ米大統領夫妻が就任するなど、米国は自国でのスポーツ開催にこだわりを見せている。
■海 運
中東から原油を運ぶ海運各社にも緊張が高まっている。原油タンカーや自動車専用船をクウェート付近まで運航している。海運業者など104社で組織する日本船主協会の計算では、ペルシャ湾内に常時10隻前後の日本船が航行している。
日本郵船は昨年6月から準備を始め、イラク、クウェートの沿岸と港付近を最重要海域とするガイドラインを作成した。安全環境グループの石田隆丸グループ長は「攻撃開始から数時間後に戦況を見極め、安全な海域の線引きを具体的に固めたい」と話す。川崎汽船も昨年12月、安全運航チームが対策を立案した。
船員で組織する全日本海員組合の平山誠一国際汽船局長は「イラン・イラク戦争や湾岸戦争で、船員は恐怖に堪えながら日本のオイルロードを守った。これからも安全対策に万全を期す」と話す。
■旅行業界
JTBの2月の海外旅行件数はテロの影響が残っていた前年同月比の95%。西山恒夫広報室長は「2月の国連安保理で査察継続が決まった時、『明日からハワイに行きたい』と申し込んだケースもあった。お客様も状況を見て行動している」と話す。
日本旅行もテロ以前の水準には戻らない。鳥越則夫広報室長は「イラク攻撃だけではなく欧米でテロが起こると対策が難しい」と分析する。
11日に横浜から世界一周クルーズに出発した客船「飛鳥」。29日にドバイ、31日にオマーンのマスカットを回る予定だが、運航する郵船クルーズは「情勢によっては寄港地の変更もある」と話している。 【平井桂月】
[毎日新聞3月17日] ( 2003-03-17-15:14 )