★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 戦争25 > 1046.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
《公安情報 ESPIO!》「ミサイル試射情報」で得するのは誰だ? 
http://www.asyura.com/2003/war25/msg/1046.html
投稿者 野田さんのメルマガを転載 日時 2003 年 3 月 15 日 22:19:06:

●(((((((((((((((((((((( ESPIO! ))))))))))))))))))))))●
==========================================================
《公安情報 ESPIO!》
■ 「ミサイル試射情報」で得するのは誰だ? Vol.197 03/15/03
==========================================================
●HP(登録・解除) http://www.emaga.com/info/xp010617.html


1.「ロシアの声」放送
 連日、繰り返される北朝鮮報道、とくにテレビのニュースを、ど
れほどの視聴者が真剣な関心を持って見ているのだろうかと、常々
疑問に思っている。日本人から見れば、奇妙かつ滑稽な風俗の映像
は、一種の「娯楽番組」として消費されているに違いない。
 しかし、この「娯楽」は、同時に安全保障に関わる「報道」や「
教養」の体裁も装っているので、その腑分けは極めて厄介であり、
いずれにしても、影響力は絶大である。
 テレビを見ると、あれこれのコメンテータがもっともらしい論評
を付け加えるので、筆者も「遅かれ早かれ弾道ミサイルの発射実験
するんだろう」などと漠然と思い込んでいた。
 たしかに、先月24日、今月10日と地対艦ミサイルを試射した
事実を踏まえて“常識的に”想像すれば、次はノドンかテポドンか
、という話になるのもやむを得ない。
 だから、つい昨日、韓国聯合ニュースのサイトで、以下のような
記事を見つけて、実に意外な印象を受けたのである。

http://www.yonhapnews.net/news/20030314/221700000020030314223923K1.html
<仮訳>
「米、北ミサイル発射説は誇張」(ロ放送)
(ソウル=聯合ニュース)キム・キグン記者=米国は、北朝鮮のノ
ドン・ミサイル発射の動きと核兵器開発計画について、正確な情報
なしにこれを誇張していると、「ロシアの声」放送が14日主張し
た。
 ソウルでこの日受信された「ロシアの声」放送は、「確信がなけ
れば、非難してはならない」という題目の論評で、「米国は北朝鮮
が日本の領土に到達可能な弾道ミサイルの発射を準備しているかの
ように日本に警告し」ながら「米国にはこれに関するどんな証拠資
料もない」と明らかにした。
 同放送は「北朝鮮が射程1300キロメートルの弾道ミサイルを
1993年に初めて発射試験した後、2002年に試験発射の凍結
を無限定に延期すると同意した」「しかし、米国はこの問題を再び
取り上げてまるで日本を威嚇しているかのように神経を刺激してい
る」と述べた。
 放送はまた「米国の言論は、北朝鮮が兵器級のプルトニウムを得
るために、廃燃料分の再処理用化学物質を購入したかのように報道
しているが、北朝鮮がこのような計画を持っていないということに
対して、ワシントン政府はいざとなると正確な情報を示すことがで
きない」「米国の主張を詳細に見れば全部“北朝鮮がそうする可能
性がある”というパターンになっている」と付け加えた。

2.韓国国防部の報告
 「ロシアの声」放送というのは、

 http://www.vor.ru/

のことだろう。
 やはり朝ロ関係があるために、ロシア側からこういう“援護射撃
”があるのか・・・これ自体「情報宣伝」の臭いがするな、と思っ
ていると、翌日、次のような記事が出た。
 今度は韓国国防部

 http://www.mnd.go.kr/

の見解に関する報道である。

http://www.yonhapnews.net/news/20030315/221700000020030315140359K9.html
<仮訳> 
「北テボドン・ミサイル発射の兆候なし―国防部」
(ソウル=聯合ニュース)イ・ソンソプ記者=「北朝鮮が長射程の
テポドン・ミサイルを発射する兆候はない」と、国防部は15日、
ノ・ムヒョン大統領に報告した。
 ファン・ヨンス(陸軍中将)国防部スポークスマンによると、キ
ム・チュンベ(陸軍中将)国防部情報部長は、この日、国防部で開
かれた報告の席で、「北朝鮮がテポドン・ミサイルの発射を準備し
ているという外国報道をどう見るか」というノ大統領の質問に、「
韓米共同で確認した結果、発射の兆候は補足されていない」と答弁
した。
 キム本部長はまた、「具体的証拠がない証拠がないという意味か
」というノ大統領の追加質問に対して、「訓練場面を日本が誤って
判断したようだ」と報告した。
 ノ大統領は引き続き「このような内容を国民によく知らせなけれ
ばならない」「誤った情報が安全保障に及ぼす影響は大きい」と指
摘したという。
 これに関連して、日本の阿部晋三官房副長官も13日「北朝鮮が
テポドンを発射するおそれがある」という報道について「そのよう
な情報を入手できていない」と明らかにしていた。

3.邦字紙の朝刊・夕刊の報道
 まさにこの記事が最後に付け加えているように、注意深く日本の
報道状況を見てみると、日本政府も“結論としては”、以下のとお
り比較的冷静な見方をしていることが分かる。

■ ミサイル基地周辺で動き イージス艦、北朝鮮を警戒
2003.03.13 共同通信 (全433字)
 北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」の発射基地周辺で、軍人
や軍用車両の出入りなどの動きを確認していることを複数の政府関
係者が十三日、認めた。政府は北朝鮮が挑発行為を強める可能性が
あるとして、日本海に展開しているイージス艦などに、詳しい情報
分析を進めつつ警戒に当たるよう指示している。
 福田康夫官房長官は同日午前の記者会見で「現在、北朝鮮が弾道
ミサイルの発射準備をしていると評価できる情報はない」と指摘。
「北朝鮮の動向については細心の注意を払って情報収集に当たる」
と述べた。
 藪中三十二外務省アジア大洋州局長も自民党外交関係合同部会で
「(発射)準備を進めている具体的な情報はない。差し迫っている
との認識はない」と述べ、政府としては緊迫した状況にはないとの
見解を示した。
 政府関係者は「最近になって、発射基地周辺に動きはあった」と
指摘。別の政府関係者は「北朝鮮は農閑期(の冬)には訓練をやる
。(動きがあっても)直ちに発射といことにはならない」との見方
を示した。

■ 北朝鮮*ノドン発射 可能性低い*福田官房長官
2003.03.13 北海道新聞夕刊全道 1頁 夕一 (全316字) 
 福田康夫官房長官は十三日午前の記者会見で、北朝鮮が日本を射
程に入れた中距離弾道ミサイル「ノドン」試射の準備を進めている
との米政府情報に関し、日本政府としても同情報を把握しているこ
とを事実上認めた上で、実際にミサイルが発射されるかについては
「部分部分で判定した結果において、そういうことは認められない
」と述べ、発射の可能性は低いとの認識を示した。(以下略)

 上の聯合通信の二番目の報道中「訓練場面を日本が誤って判断し
たようだ」とあるのは、「別の政府関係者は『北朝鮮は農閑期(の
冬)には訓練をやる。(動きがあっても)直ちに発射といことには
ならない』との見方を示した」という共同通信の報道に対応してい
るようにも思える。
―しかし、たとえ福田官房長官が当日午後に否定的な見解を示そう
とも、この記事の見出し自体も「ミサイル基地周辺で動き イージ
ス艦、北朝鮮を警戒」となっている。
 3月13日朝日新聞の朝刊の見出しは「北朝鮮、弾道ミサイル準
備か 米偵察衛星が確認 米紙報道」である。
 つまり、全体としては、朝刊で「試射確実」という見出しが並び
、夕刊で「否定的」なベタ記事が出るという状況になっている。
 テレビ報道の場合は、御承知のとおり、新聞以上に「発射準備」
という情報だけが強調され、そのイメージだけが残存したわけだ。

4.「ミサイル防衛」
 ところで、13日付け朝日新聞朝刊の見出しからも窺えるとおり
、今回の弾道ミサイル発射の情報は、12日付けのワシントンタイ
ムズが報じたものである。

http://www.washtimes.com/national/20030312-477649.htm
<摘要>
 複数の米情報担当官によれば、北朝鮮はテポドン2とみられる長
距離弾道ミサイルの発射準備を進めている。
 情報担当官の一人は最近の衛星写真を基に「発射に向けた差し迫
った兆候はないが、可能性は確実にある」と述べた。
 別の担当官は、近く三度目のミサイル飛行実験が行われるとの懸
念があるとし、発射されるのはテポドン2との見方を示した。

 「米情報担当官」がそういうリークをしたのは事実かもしれない
し、よく読んでみると「発射に向けた差し迫った兆候はないが、可
能性は確実にある」などと微妙な言い回しを用いている。
 したがって、同紙の報道は誤報とまでは言えないかもしれない。
 まさに上記「ロシアの声」が皮肉混じりに指摘しているらしいの
と同様に、「可能性がある」と付け加えておけば、実際には問題の
事象が起こらない場合でも、絶対に過ちを犯す“可能性”は皆無と
なり、誤りを糾弾される“可能性”はないからだ。
 しかし、「実際に発射準備が行われている様子がない」という意
味では、「誤報」であると言っても差し支えなかろう。
 となると、問題はこの時期にどうしてこんな報道が飛び出したの
か、という「意味」である。あるいは、なぜ「米情報担当官」はワ
シントンタイムズの記事になるような情報をリークしたのだろうか。
 そこで、新聞検索をしてみると、偶然の一致かもしれないが、3
月12日の朝日新聞朝刊が「米国型購入案が浮上 日米共同研究の
ミサイル防衛」というタイトルの記事を掲載していることが分かる。
 実に興味深いことに、ワシントンタイムズの報道を受けた日本時
間13日の朝刊ではなくて、同12日の朝刊なのだ。
 それ以前にも地対艦ミサイルの発射はあったし、弾道ミサイルの
試射云々は今に始まった話ではないから、掲載時期の如何はそれほ
ど問題ではないかもしれない。
 けれども、「弾道ミサイル発射準備」というセンセーショナルな
報道を直後に受けた一般市民が、「ミサイル防衛が必要だな」とい
う漠然とした感想を抱くのは当然の成り行きである。
 米国発のミサイル試射情報が日本国内を駆け巡ぐり、時期を同じ
くして「米国型購入案が浮上」するのも極めて奇妙な話である。

5.溢れかえる“情報”
 さて、そんなふうに考え直してみると、「もう見飽き、聞き飽き
た」と思うほど情報が溢れ返っているかのように見えて、実は肝心
なことは何も分かっていない、あるいは知らされていないというこ
とが分かる。
 ワシントンタイムズはそもそも本当に「米情報担当官」のリーク
を受けたのか。リークを受けたとして、その「担当官」は、いった
いどういう役職の、どこの誰なのか。個人的見解なのか、組織的な
意思表示なのか。あくまで常識的な推測に基づく一般的な「見方」
に留まるのか、それとも決定的かつ具体的な根拠情報があるのか。
何らかの根拠情報があるとして、本当のところ、それはどういう手
段によって得られたものなのか。つまり、衛星画像だけなのか、無
線傍受や協力者工作による裏付けもあるのか。
 上の北海道新聞の報道によれば、日本政府も独自に同様の情報を
入手しているようだが、それはどんな種類のどんな内容の情報なの
か。どうして日本政府は「可能性が低い」と判断したのか。ワシン
トンタイムズの報道前に「可能性が低い」と分析していたのか。米
紙の報道がない場合でも、政府の警戒情報は発表されたのか・・・。
 もちろん、情報活動に関わることだから、すべてが明らかにされ
ることはない。いや、明らかにされることなど、ごく一部だとさえ
言える。
 かくのごとく検証しようのない情報は、しかし、基本的に「胡散
臭い」情報である。
 ところが、こと情報機関発の情報となると、特に米国発の情報と
なると、なぜか不思議なことに、あたかも神聖不可侵の、絶対的な
事実であるかの如く受け止められてしまう。当該機関自らの公式発
表ならまだしも、「情報筋」や「情報当局」による真偽不明の怪情
報が正当性と影響力を持つに至るのである。

6.防衛庁の対応は?
 冒頭の聯合ニュースなどを見ると、結論的に言えば、今回の発射
準備騒動は、どうやら「訓練」だったらしい。
 厳密には本当にそういう「訓練」があったか否かも定かではない
が、仮に実際にあったとしよう。
 とすると、「訓練」とはいえ、単なる定期的な訓練の一つだった
のか、あるいはあらかじめ敵に察知されることを意図した上での「
挑発行為」だったのか、当然、新たな疑問が生まれてくる。
 「訓練」と言っても、本当に発射するかもしれないから、見過ご
すことなどできず、その意味で防衛庁ないしは関係機関が、警戒情
報を発していたとすれば頷ける。
 一方、「挑発行為」だとしたら、過剰に反応するのは相手の思う
壺になるから、無視するのも一方策である。
 一概には言えないが、ひょっとすると日本政府は、関連情報につ
いて入手しながら、これを公表しないつもりだったのかもしれない。
 気にかかるのは、単なる訓練と知りつつ、これを誇大に取り上げ
る要素が、日本側、とりわけ防衛庁にあったか否かという点だ。つ
まり、その実、弾道ミサイルが試射されることはないと判断してお
きながら、防衛庁が米側と呼応しつつ、情報操作をする意図があっ
たか否かという疑問である。

7.「弾道ミサイル試射情報」で得するのは誰だ?
 標題のとおり、課題を立ててみたものの、筆者が依拠するのも所
詮は、二、三の公然情報に過ぎない。今回のメルマガは一つの問題
提起、いや、むしろ単なる「思いつき」の披露と言ったほうがいい
かもしれない。しかし、ごく常識的な判断に基づいて、こんな「考
え方」を呈示することはできるのではなかろうか?
 その一つは、上にも触れたとおり、ズバリ、日米共同のミサイル
防衛に係る利権である。
 これに類した動きはやはり今回が初めてではない。これまでも要
所要所で同様の情報がリークされている。
 もう一つは、忘れてはならないのは、実はイラク問題である。
 今回の弾道ミサイル試射騒動で、こんなふうに思った人は少なく
ないはずだ。「北朝鮮はやはり何をしでかすか分からない国だ。い
ざとなったら守ってくれるのはアメリカしかいない。日米安保体制
をどんなことがあっても堅持しなければならない。心情的には嫌い
でもアメリカを支持するのが国益に適っている」。
 つまり、日本は対外的には、米国支持を公然と表明しているが、
国民レベルでも米国支持の世論を醸成しようというわけだ。
―ちなみに、原口幸市国連大使が、安保理で修正決議案への支持を
表明したのは今月12日、外務省の田中均外務審議官が「仮に戦争
が始まったら、米国を支持しない選択肢はない」と明確な武力行使
支持を表明したのは13日のことである。

<付記1>
 今回は、いささか「謀略論」的な内容であるという印象を受けた
読者もいるかもしれない。
 読者はどのように受け止めているか分からないが、あらためて表
明しておくと、筆者は「謀略論」に依拠して、何でもかんでも事象
を読み解こうとする姿勢は基本的に嫌いである。「嫌い」というよ
りも「謀略論」は不可能だと考えている。
 なぜなら、端的に言うと、多くの場合、結果的に見れば、「謀略
」は思ったほど成功しないからである。ほとんど無数のプレーヤー
や不確定の条件が絡み合っているのに、何手も先を読み抜いて最適
な解を見つけ出すことなど、事実上不可能だ。「謀略論」はその予
想が可能である、という前提に立っている。あたかも全知全能の人
物がいるものと想定している。
 もちろん、そんなことはあり得ない。
 しかし、このことは「謀略は存在しない」ということを意味する
ものではない。それぞれの勝手な思い込みで、さまざまな個人や集
団が「謀略」を試みることは、現に行われている。
 重要なことは、「謀略論」に基づいて安直に現実を解釈すること
でなくて、「謀略」を行おうとする者の動機と計算を分析した上で
、それがどの程度、現実に影響を与え得るのものなのか丹念に検証
してみることではなかろうか。想像力や直感は有効だが、客観的な
裏付けと合理性が必要である。これはいわゆる「謀略論」的アプロ
ーチとは異なるのである。
―当メルマガの内容に比べると、大上段に構えすぎているが、あく
まで一般的なスタンスとして。


 
<付記2>
 なお、断っておくが、筆者は「北朝鮮が弾道ミサイルの試射を行
うことなどあり得ない」などと言わんとしているのではない。
 展開次第では十分考えられるだろう。まったく土壌のないところ
に虚偽の情報を流しても、効果は薄いのである。「そうかもしれな
い」「いかにもそうだ」と思わせることこそが、「心理戦」の要諦
である。
 しかし、少なくとも3月12日前後の時点では、最初から根拠の
薄いことが分かっていた「ガセ」、ないしは一定の効果を狙った「
誇大情報」だった可能性が高いことを確認しておく意味は大きいだ
ろう。
 


==========================================================
情報発信者:野田敬生(hironari noda)

【引用者注:メルマガに記載されている連絡先などは省略します】

 次へ  前へ

戦争25掲示板へ



フォローアップ:



 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。