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(回答先: 米軍駐留許可の審議は２７日に トルコ国会が方針 ［ＣＮＮ］ 投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 26 日 22:58:24)
【アダナ（トルコ南東部）山科武司】対イラク攻撃にからむトルコの米軍への基地提供問題が大詰めを迎えている。早期承認を迫る米政府の圧力を受け、トルコ政府は駐留を閣議決定し、近く国会での承認を取り付ける段取りだ。だが、トルコ国内のクルド人の独立機運の高まりやイラクからの反撃を恐れるトルコ国民は、大多数が対イラク攻撃に反対だけに、基地提供問題は当分、トルコ国内を揺るがしかねない情勢だ。
「前線基地」としてトルコへの駐留が承認されれば、米軍は北方からイラクへの地上軍侵攻ルートを確保するわけで、南方のクウェート・ルートと合わせ、フセイン政権打倒に向けた攻撃態勢が整う。
米国主導のＮＡＴＯ（北大西洋条約機構）の加盟国であることに加え、政治的、経済的な結び付きも深く、トルコ人自らが「（米国の）５１番目の州」と自虐的に話すほど両国関係は密接だ。イラク北部の「飛行禁止空域」の偵察飛行の拠点としてすでに南部のインジルリク基地を提供していることもあり、今回の対イラク攻撃でも「戦略面からトルコの利用は欠かせない」（トルコ外交筋）とされる。
このため、基地提供をめぐる米国とトルコの交渉について、地元消息筋は「協力は既定路線。トルコが米国からどれだけ経済援助や軍事協力を引き出すかが交渉の焦点」と指摘する。トルコ政府が２７日にも国会に提出する米軍駐留案によると、国会承認から６カ月間、米軍部隊６万２０００人、軍用機２５５機などの駐留を容認する予定だ。
米・トルコ間の交渉で最大の懸案は、攻撃に伴う混乱でトルコ経済が一層低迷することを想定し、米国がテコ入れのために行う経済支援の問題だ。当初、「４０億ドルから１５０億ドルの間」と言われた支援額は、戦争反対のトルコ国内世論が障害となって交渉が長引いた。米ＣＮＮは２６日、「経済支援は６０億ドルの無償援助と最大１００億ドルの長期借款」と報じたが、最終的な合意額はまだ公表されていない。
トルコは同時に経済支援内容を文書化することにもこだわった。湾岸戦争時に協力した際も、米国からの経済支援を約束されたが「多くは口約束に終わった」（トルコ外交筋）からだ。
トルコ政府は国内の反対世論を知りつつ、半ば「見切り発車」する形で、２４日、閣議で米軍駐留留承認を国会に求めることを決めた。対イラク攻撃に伴うトルコの経済損失は２８０億ドルに上るとの試算があるだけに、トルコの国内政治に詳しいオズガン・グルタシュ弁護士は「どれほど支援を受けても開戦になれば経済損失は避けられないのが実情。ならばと、政府は経済支援を取れるだけ取る方針に踏み出した」とトルコ政府のしたたかさを指摘する。
だが、トルコにとって真の懸案は、米軍駐留がトルコ国会で承認後の問題だ。大規模攻撃でフセイン政権が崩壊すれば、イラク北部の自治区に住むクルド人の間に独立国家創設機運が急速に高まり、国境を超えて住む１０００万人ともいわれるトルコ国内のクルド人の独立意識をも刺激しかねない。
２国間交渉を通じ、両国はクルド独立国家創設に反対することでは一致した。トルコは開戦に伴い、クルド人勢力掃討を目的にイラク北部にトルコ軍を本格進攻させる意向とされる。だが、消息筋はトルコの真の狙いは、イラク北部の油田地帯・キルクークを確保することも言われ、米国などの反発も予想される。
過去のイスラム擁護発言を盾に、先の総選挙で立候補資格を奪われていた与党・公正発展党党首のエルドアン氏はこのほど３月の補選への立候補が認められた。同氏は国会議員当選と同時に、ギュル現首相から政権を譲り受け、後継首相に就任が確実視される。トルコ政府はエルドアン氏の人気を盾に、反戦世論という「逆風」を乗り切りたい意向とみられる。
［毎日新聞２月２６日］ ( 2003-02-26-21:41 )
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