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2003年2月25日 火曜日
ドイツは統一から12年を経て、国際的野心をあらわにし始めた。確かに「経済大国」としてはまだ息を吹き返してはいないものの、もはやかつての「政治小国」ではない。国連安保理事会の常任理事国に名乗りをあげ、また欧州連合(EU)内での主導権を強めようとして、あらゆる方面で活発に動いている。コソヴォ戦争は一つの転機だった。だが、ドイツ外交の際立った特徴は、なによりもその中東政策にある。
アラブ世界がドイツに抱いてきたイメージは、20世紀初頭以降つねに肯定的だった。チュニジアの歴史家ヒシェム・ジャイトはその理由を次のように説明している。「過去にドイツがイスラムを侵略したことはない。アラブやムスリムの土地がドイツに植民地化されたことはない。ドイツはわれわれの敵の敵だった。しかもトルコの同盟国でもあり、そのことは様々な理由によって、アラブ=イスラム的意識にとってなおも何かしらの意味をもっていた」。第二次世界大戦中には「大衆の多くが植民地支配からの解放を期待して、ドイツの勝利を願った。(中略)そこにはドイツの勇気、ドイツの大胆さと才覚、巨大な連合国軍を相手にした孤立無援ともいえる戦いを讃える集団的心情があった
ドイツとトルコの関係は数百年来のものだ。オスマン世界とゲルマン世界は16世紀に対決し、バルカン半島の例に見られるように中東欧一帯を暗黙のうちに分割した。オスマン帝国崩壊後、両者の緊張関係は同盟関係へと変わる。すでにオスマン帝国時代の1835年に、ドイツの将校ヘルムート・フォン・モルトケが軍事顧問として招かれている。さらに1888年には、ヴィルヘルム2世がアブデュル・ハミト2世と協約を結んだ。オスマン帝国軍は、ゴルツ・パシャ(太守)とあだ名されることになるコルマー・フライハー・フォン・デア・ゴルツを副参謀長として迎え、第一次世界大戦直後までドイツ帝国軍将校の統率下にあった。これらの将校はアルメニア民族虐殺の第一級の証人であり、それに加担したとすらいわれている(6)。トルコ共和国建国の父ムスタファ・ケマル自身はドイツの影響力を敵視したが、ドイツ・ナショナリズムと単一民族国家思想の影響は、ケマルを支えた青年トルコ党に深く刻み込まれることとなる。
(ル・モンド・ディプロマティークより)
北朝鮮が短距離ミサイルの発射実験を始めて、日本中が神経質になっている。100発のノドン・ミサイルが日本に向いている。射程1300キロは日本に向けたものとしか考えられない。頼りのアメリカはイラク攻撃に熱中するあまり、北朝鮮には食糧援助を再開するなど融和的政策になってきている。アメリカは日本や韓国を守りきれないから、北朝鮮に主導権を握られた外交をしている。アメリカは金正日に足元を見透かされているのだ。
日本の防衛でアメリカが頼りにならなければ、日本は自主防衛体制を整える必要が出てくるだろう。イラク攻撃の動機を見れば、アメリカは自国の利益になることにしか軍事力を用いない事がわかるだろう。北朝鮮は日本にとっては脅威だが、アメリカにとっては脅威では無いから、北朝鮮には弱腰な対応を示している。
以前よりこの日記で何度も書いていることだが、日本に駐留している米軍の銃口は中国やロシアに向けられたものではなく、日本に向けられている。そして様々な要求を押し付け日本政府を脅迫して、日本の資産を強奪しているのだ。しかしマスコミや教育の洗脳工作によって日本国民はこの事実に気付いていない。おそらくイラク攻撃でもアメリカは日本に対し1兆円以上の請求書を回してくるだろう。小泉首相も国会で協力すると述べている。
ドイツはイラク攻撃を巡ってアメリカと対立している。シュレーダー首相は軍事協力も経済協力もしないと宣言している。これに対しラムズフェルド米国防長官は在独米軍の撤退をほのめかした。これは薮蛇になるだろう。ドイツから撤退すればヨーロッパから撤退したのと同じ事になる。ポーランドへ基地を移したとして、ドイツを迂回して行かなければならない。イタリアやスペインにも基地はあるがアメリカは西へ撤退することになる。
ドイツ人はアメリカ軍の基地がドイツ国内にある意味をよく理解している。誰もロシアから守るためにアメリカ軍が駐留しているとは思ってはいない。ソ連が崩壊して東独も無くなったから、在独米軍の存在意義はなくなったのに駐留しているということは、ドイツをアメリカの勢力下に置くための軍隊なのだ。この事はアメリカ内部でも計算済みであり、米軍のヨーロッパからアジアへの移動を戦略的に立てている。
アメリカはベネズエラの長期間の石油ストライキで、石油在庫が空っぽになり、イラクからの石油輸入を大幅に増やしている。これから戦争を仕掛けようとしている国から石油を輸入している事実は何を物語るか。アメリカのガソリン価格は二倍に値上がりしてしまった。アメリカは石油をすでに6割を輸入に頼っている。このような状況でイラク攻撃に踏み切ればイラク油田は壊滅して石油が暴騰する。だからアメリカ株式は値下がりする一方だ。
その反面、ドイツは中東に、イラク攻撃に反対することで影響力を増している。フランス・ロシアも同じだ。アメリカがイラク攻撃を断念すれば、アメリカはもとよりイギリスや日本やスペインは中東諸国からしっぺ返しを食らうだろう。イギリスやスペインは大規模な反戦デモでいつでも寝返ることが出来る。首相を取り替えれば済むことだからだ。ところが日本は反戦デモが無かったから首相をクビに出来にくい。
アメリカは今や世界中から袋叩きにされている。これはアメリカが孤立主義へ陥る前兆だ。ドイツはその先を読んで中東外交に先手を打っている。ドイツはフランスと違って中東を侵略したことが無い。ロシアや中国は危険すぎる。ドイツの中東諸国への影響力は増す一方だ。日本はアメリカが衰退し、自立を強いられた時のことも考えるべきだ。
ドイツが展開する中東外交 ル・モンド・ディプロマティーク:http://www.netlaputa.ne.jp/~kagumi/articles02/0207.html