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国際原子力機関（ＩＡＥＡ）によるイランの原子力施設の査察で、同国のウラン濃縮技術は予想以上に進んでいることが明らかになった。また、イラン側は、ＩＡＥＡが求める査察強化に前向きな反応を示したものの、核開発疑惑を十分に晴らすまでには至らなかった。
◆査察強化には「前向き」◆
【テヘラン＝柳沢亨之】原子力施設の査察のためイランを訪問していたＩＡＥＡのエルバラダイ事務局長は２２日、当地で記者会見し、イラン側が、ＩＡＥＡの査察権限拡大を定めた「追加議定書」の締結を「前向きに検討する」と表明したことを明らかにした。しかし、締結を明言するまでには至らなかった。
エルバラダイ氏は会見で、イラン側が新たな核施設建設計画を決定し次第、ただちにＩＡＥＡ側に連絡することに合意したことなどを明らかにした。そのうえで原子力の平和利用に向けたイラン側の「一層の透明性を示す兆候」と評価した。
一方で同氏は、核開発疑惑の解消には追加議定書締結が必要だと念を押した。会見に同席したイランのアガザデ副大統領（兼原子力庁長官）も「追加議定書が世界全体で受け入れられているわけではない」と指摘し、締結に向けた明確な意思は示さなかった。
同議定書は、短時間（２―２４時間）の通告による査察などを可能にする。現在の加盟国は２８か国にとどまっている。
イランは今後、敵対するイスラエルがＮＰＴに加盟していないことなどを引き合いに出し、早期締結を渋る可能性もある。
◆ウラン濃縮技術進む…米紙報道◆
【ニューヨーク支局】米紙ニューヨーク・タイムズ（電子版）は２３日、イランが建設を進めている中部ナタンツのウラン濃縮工場には、すでに高性能の遠心分離器があり、核開発の技術水準は米英が最大の脅威と見なすイラクよりはるかに高い、と報じた。
同紙によると、ナタンツの工場を２１日に査察したＩＡＥＡ一行は、規模は小さいがウラン濃縮に必要な遠心分離器を確認した。イラン側はこのほか、「多数の遠心分離器を作る部品」を保有していることを明らかにしたという。米国の諜報機関は、イランがパキスタンの技術支援を受けていると見ている。
イラン政府は今月１０日、ウラン燃料の製造計画を発表した。それによると、ウラン鉱石を同国中部イスファハンの精錬工場で加工し、ナタンツで濃縮すると見られる。
予想を超えるイランの原子力計画の進展ぶりが確認されたことで、米国などは、ナタンツの工場が完成した後にイランが核拡散防止条約（ＮＰＴ）を脱退し、核兵器開発に突き進むことを懸念しているという。
イラン政府はこの工場について、「原発のウラン燃料を製造する施設」と説明するが、年内にも完成する同国初の原発にはロシアが燃料を供給する。このため米国の安全保障の専門家は「民生用のウラン燃料製造はイランには必要ない」と指摘している。
(2月23日23:25)
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