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02/20 17:27 石油大国サウジに貧困地区 皇太子訪問で一挙に注目 外信87
所々、崩れ落ちた褐色の土壁が印象的な街並み。壊れて開いたま
まの扉から子供たちが飛び出し、風でほこりの舞い上がる路地を駆
け抜けた―。
サウジアラビアの首都リヤドの中心部に近いアルオード地区。世
界最大の産油国として潤う中、同地区には多くの貧しい人たちが集
まって住む。米中枢同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディ
ン氏の出身国。「テロの温床」とも指摘される貧困層の実態は、最
近になってようやく注目され始めたばかりだ。
「守衛の仕事をやめてからこの状態さ」。同地区に住むアハメド
・アリさん(50)は月千二百リヤル(約三万八千五百円)の収入
が途絶え、妻と三歳から十八歳までの六人の子供を抱えて暮らす。
「中を見てくれ」。別の住民に誘われるまま近くの家に入った。
玄関の一室を抜けると、やけに明るい。見上げると、ぽっかりと穴
の空いた天井から青空が見えた。床にはパンやジャガイモが無造作
に積まれ、悪臭が部屋中に漂う。
サウジアラビアの中央統計局によると、外国人を含めた労働者の
平均賃金(二○○○年)は月二千四百リヤル(約七万七百円)余り
。低賃金の労働者はまともな住宅を借りることさえ難しい。公式の
失業率は13%だが、非公式の数字は20%に達するともいわれ、
近い将来、社会問題になりかねない。
こうした中、事実上の国王代行として国政を取り仕切るアブドラ
皇太子が昨年十一月に同地区を訪問、それまで公に語られることの
なかった貧困問題が一挙に注目を浴びた。
「皇太子は全家庭に四千リヤルずつくれた。住宅の建設も約束し
てくれた」とアリさん。国内では、政府が社会の安定に向け、貧困
問題の解消に力を入れ始めた表れと受け止められている。
同地区を抜けると、黒い衣装で全身を覆った女性が信号待ちの車
にペットボトルの水などを売り歩いていた。男性の面前で女性が働
くことがないサウジアラビアでの見慣れない光景に、案内してくれ
た政府職員は「仕事も身寄りもないから、仕方ないんだ」とつぶや
き、言葉を詰まらせた。(リヤド共同=宇田川謙)
(了) 030220 1727
[2003-02-20-17:27]