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イラクに対する査察継続に疑問を示し、武力行使容認の新決議を支持する――国連安保理事会・公開討論での原口幸市国連大使の演説は、各国の中でも突出した「米英追随」姿勢を鮮明にするもので、19日には、野党だけでなく与党からも演説内容には不満の声が聞こえ始めた。国際的に反戦ムードが高まる中での、今回の「はじめに結論ありき」とも言えるイラク対応。小泉内閣にとって一段と難しい課題となってきた。 【中川佳昭、尾中香尚里、川上克己】
「米国は決議は必要ないと言っているが、日本は国際社会が協力してイラクに当たるべきだと言っている。曲解、誤解しないでください」
小泉純一郎首相は19日、イラク問題に関する日本の態度について「米英を支持するということか」と記者団から問われると、こう繰り返した。福田康夫官房長官も記者会見で、同じ質問に「私、分かりません、それは。これから協議して決めることですから」と逃げに終始した。
小泉首相は6日の衆院予算委で「米国の同盟国として責任ある対応をしていかねばならない」と訴えたが、その後はむしろ「対米追従」の印象を弱めるのに躍起だ。
そのため、最近になって首相や福田氏の発言で目立ってきたのは、「国際協調」「平和的解決」という表現。世界各地に反戦機運が広がり、国内で内閣支持率がかげる中、小泉官邸は世論動向にも神経をとがらせざるを得ないからだ。ただ、「世論対策」といっても「イラク悪玉論」の宣伝に今さらながら力を入れる程度。決め手を欠いている。
「(政府は)どういうスタンスを取ろうとしているのか。もっと国内の議論をやるべきだ」
自民党の野中広務元幹事長は19日、原口幸市国連大使の国連演説について、記者団にこう語った。古賀誠前幹事長も「大量破壊兵器処分をイラクに迫るのが日本の役割。戦争回避のために何が必要かを国際社会に向かって言うべきだ」と不満を示した。
野中、古賀誠両氏に「小泉内閣への揺さぶり」という意図があるのは否定できないが、両氏にはそれ以上に、今のままでは国民の理解を得るのは難しいという危機感があるようだ。
野中氏が属する自民党橋本派内にも「今後、米国の協力がなければ北朝鮮の核問題には対処できない」(幹部)との声は強いが、実際には小泉首相も含めて、まだ国民に向けて、ていねいな説明をしていないのが現状だからだ。
このため、野党からは19日、まず、首相らが国会でイラク問題について明確な答弁を避け続けてきたことに対し、「二枚舌外交」(枝野幸男民主党政調会長)「国民に対する背信行為だ」(土井たか子社民党党首)などの批判が噴出した。
さらに演説の内容に関しても、志位和夫共産党委員長は「平和的解決を求める国際的な世論に背いており断じて許されない」と批判。枝野氏も「国連の追加査察がなされている中、決議を出すべきだというのは時期尚早」と語り、国際世論から突出した米国支持の姿勢を批判した。
これに対し、自民党の山崎拓幹事長は19日、「わが国政府の基本的な考え方だ」と説明。高村正彦元外相も「イラクの武装解除に向け、断固とした決意を示すために新決議が望ましいとしたのは、従来からの延長線だ」と述べた。一方、公明党執行部は既に、米英のイラク攻撃を日本政府が「支持」すれば、容認する方針をすでに固めているが、「平和」をアピールする同党だけに、中堅・若手議員の間では、こうした執行部の姿勢に対し慎重論も根強い。
[毎日新聞2月19日] ( 2003-02-19-21:51 )