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【ニューヨーク佐藤由紀】イラク問題に関する国連安保理・公開討論の初日、演説したのは27カ国・機構。このうち、22カ国が平和的解決を求める姿勢を明確に打ち出し、先週末の世界的反戦デモとあわせ、国際社会の大勢が武力行使に反対していることが浮き彫りになった。
特にイラン、トルコ、ヨルダンなどイラクの近隣諸国は、戦争による影響を直接受けることから、発言には重みがあった。例えばイランは、80年代のイラクとの戦争で化学兵器の攻撃を受けた経験から、大量破壊兵器には「誰よりも関心がある」としながら、「戦争は悪夢のシナリオだ」と警告した。
アフリカ諸国を代表して発言したガンビアは「巨象がケンカすれば、足下の草が苦しむ」との格言を引き、戦争不安によって、アフリカの経済がすでに悪化していることに言及した。
ただし、多くの国がイラクの大量破壊兵器疑惑に懸念を表明、「イラクが査察に積極的に協力しない限り、外交的解決は困難になる」との見解も示している。
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18日の安保理公開討論における各国発言要旨
【武力行使容認の新決議採択を支持】
★日本 イラクが積極的に協力しない限り、査察を継続しても有効性は疑問だ。国際社会の断固たる姿勢を示す新決議の採択が望ましい。
★オーストラリア イラクが安保理決議の履行義務を果たさないのは「重大な違反」に相当する。安保理は、イラクの違反に断固として対処すべく、迅速に新決議を検討すべきだ。
【イラクの対応非難】
☆クウェート 査察についてのイラクの非協力的姿勢は残念。武力行使は最後の手段だが、戦争を回避できるのはイラクだけだ。
☆ペルー 武力行使は国際平和を保証するための合法的手段でもある。安保理決議の完全な適用を求める。
☆アルゼンチン イラクの大量破壊兵器廃棄のため、あらゆる平和的手段を試すべきだ。イラクが消極的なままなら「深刻な結果」(武力行使)になるが、たとえそうなっても無防備な街への爆撃は避けるべきだ。
【平和的解決を要望】
●南アフリカ 査察をあきらめ、すぐにでも「深刻な結果」に当たる行為をすべきだという根拠は何もない。査察を強化し、成功させるための実際的な選択肢を見つけることに安保理は努めるべきだ。
●モロッコ 平和的解決を図るべきだ。
●キューバ 世界の世論の大勢は、米国が国際法や国連の権威を無視して、一方的な決定をすることに反対している。イラクは(米国にも)近隣国にも脅威ではないと確信している。
●イラン 大量破壊兵器の危険から国を守ることには、どの国よりも関心がある。他方、わが国のすぐ近くで不安定化を招く戦争が起こるのは悪夢のシナリオだ。
●アルジェリア 外交的努力で問題を解決すべきだ。
●バーレーン 平和的解決のため、あらゆる手段を尽くすべきだ。
●ヨルダン すべての国が平和的な手段で問題解決にあたるべきだ。平和を損ない、中東情勢をさらに危機的にすることは避けねばならない。
●ガンビア イラク問題で対応を誤れば、アフリカ諸国に対するテロ攻撃に結びつきかねない。アフリカは戦争を望まない。査察による大量破壊兵器廃棄により、戦争の苦痛を避ける希望もでてきた。
●トルコ 平和的手段で現在の危機を乗り切るよう希望する。イラクは、ここが正念場と心得て行動してほしい。
●ブラジル フランスなどが提案した査察の強化・継続を支持する。
●ベトナム 戦争で打撃を受けるのは市民たち。平和的な手段で解決をすべきだ。
●ニュージーランド 安保理の承認がない武力介入は認めない。それを認める時ではない。
●ウクライナ イラクの大量破壊兵器廃棄のため査察を継続すべきだ。
●セントルシア 安保理の枠を超えた一方的な行動は国連の健全さを損ない、平和と安全保障を維持する多国間システムを弱体化させる。
●インド 平和的な解決のため、あらゆる選択肢を追求すべきだ。武力は最後の、どうしても避けられない場合の選択肢だ。
●ギリシャ 戦争は不可避ではない。安保理が必要とみなすだけ、国連査察に時間を与えるべきだ。
●イラク 安保理決議はすべて順守してきた。イラクは不当な制裁を受けたままだ。これからも査察に協力する。
●アラブ連盟 イラクを攻撃する理由はない。なぜ、脅威なのか。中東でもっと脅威なのは、核兵器を持っているイスラエルのほうだ。
●オマーン 査察の成果が出ている。米英の懸念は理解するが、中東や全世界にとっても悲劇的な結果を招く戦争を避けるよう努力してほしい。
●スーダン 国際社会は対話に努め、戦争を避けてほしい。査察を強化・継続すべきだ。イラク自身も危機を平和的に解決できるよう、査察に完全に協力してほしい
●イエメン イラクが査察に協力姿勢を見せていることを歓迎する。安保理決議を尊重するが、大量破壊兵器の廃棄をいうなら、イラクだけでなくイスラエルも対象にすべきだ。
●ベラルーシ 平和的な方法によるイラクの非武装化は可能だ。査察の強化・継続を支持し、イラクの協力を要請する。
[毎日新聞2月19日] ( 2003-02-19-22:22 )