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アメリカの対イラク戦争とフセイン独裁に反対する運動の現状(イラク共産党在仏代表ライド・ファーミに聞く)  [JRCL「週刊かけはし」2・19]
http://www.asyura.com/2003/war24/msg/372.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 19 日 23:03:40:


 ここに紹介するのは、イラク共産党の在仏代表部の指導部の一員であるファイド・ファーミに対するインタビューである。

――アメリカの対イラク政策についてどのような懸念をもっていますか?

 アメリカは、九月十一日以降、イラクに対する自らの第二段階の政策を開始することを決定したとわれわれは考えている。一九九〇〜九一年の第一次湾岸戦争以来、アメリカは、経済的、軍事的手段を行使して、この地域においてイラクが大きな役割を果たすことを妨げるために、とりわけイラクを無力化しようと試みてきた。
 アメリカは、一九九一年初め以来、この体制を変えたいのだと宣言してきたが、実際には、そのために行動しなかった。一九九一年三月、イラク国内で人民の決起が起こった。それは、まさに体制を民衆の裁きの場に引き出し、全国十八州のうち十四の州の権力を崩壊させた。だが、アメリカは何もせずこの反対運動が虐殺されるのをそのまま許した。
 経済制裁は第一に人民に打撃を与えているが、体制には打撃を与えていない。こうした状況のもとでは、人民がこの全面的な軍事体制と闘おうと考えるようになるのがきわめて困難であることはよく分る。しかも、経済制裁は、国家がこれまで提供していた一部の社会サービスの分野を狭めることとなった。人々は無秩序な自由主義経済に直面している。
 ……配給制はうまく機能している。なぜなら、体制にとって、配給は社会的統制の手段だからである。したがって、制裁は人民を弱らせ、体制を強化し、権力に近いありとあらゆる連中に支配された並行経済出現の諸条件を作り出し、極端な大富裕層の出現を可能にしている。
 一九九五年、アメリカに加担した一部の反政府勢力が、内部からの一種の軍事介入を準備した。だが、アメリカは自分たちの同盟者たちを見捨てた。
 九月十一日以降、アメリカは、イラクにおいて友好的政権を樹立することによって、その政権に圧力をかけて自らの戦略的利害に対応する新しい編成の方向に向わせることができると考えている。アメリカの考えでは、イラクの政権は、全世界でもほとんど好かれていず、自国民との関係でも孤立している独裁政権なので、攻撃しやすいというのである。
 だが、事態はそれほど単純ではない。アメリカは特に、いかなる点でイラク政権が今日、以前に比べてさらに危険になっているのかをもはや説明することができない。アメリカが現政権を倒すことができると仮に認めるとしよう。その場合、どのようにして新政権を樹立することになるのか。アメリカは、すべての移行時につきものの変革を外部からコントロールすることによって抑えたいと思っている。イラク人民が自らの意志を表明する機会を回避しなければならないからである。
 今日、イラク軍の大部分は、アメリカの最適の攻撃対象である都市に駐留しているので、アメリカ軍が爆撃を行う場合には、爆撃が市民に波及することを覚悟しなければならない。

――サダム・フセイン体制はどのような社会的基盤の上に成立しているのか?

 第一次オイルショックの直後、国家収入の現象的増大は、この体制が、一定の生活水準の向上、とりわけ都市階層の生活水準の向上をもたらす経済政策を採用すること可能にした。また同時に、一九七〇年代初頭にこの体制が進歩的言辞を取ったことを知っておくべきである。同政権は自らを反帝国主義であると宣言し、社会主義陣営との同盟関係を発展させた。石油を国有化し、農地改革の政策を採用するなどした。こうしたことが、反民主的な政策と並行して推進された。
 サダム・フセインが一九七九年七月にこの国のナンバーワンになったとき、イラクはその力の絶頂にあった。他のアラブ諸国はその当時、問題を抱えていた。ナセルが死亡した。アラブには大物の首脳がいなくなり、イランではホメイニが権力の座に就いたが、ホメイイニ体制は、多くのアラブ諸国にとって、脅威を意味していた。
 サダム・フセインはイランを攻撃することによって、自分の支配を拡大したいと考え、それについて、アメリカやヨーロッパやソ連や湾岸諸国の支持を取り付けた。イラン・イラク戦争を通じて、この国の持つすべての資源が軍事予算に振り向けられた。一部の石油施設が破壊され、石油収入が減少した。イラク国民の多くが前線に動員された。農業は崩壊し、工業は軍事化された。戦争経済になったのである。
 そこから、七〇年代を通じて建設された体制の社会的基盤は、バース党自身が放棄されるような個人崇拝を伴いつつ、縮小していった。バース党はその内実を失った。それは政治的、社会的統制のための道具にすぎなくなった。権力は、サダム・フセインとその親族の手に集中した。

――反体制勢力はどうなっているかのか?

 歴史的に言うと、イラクには次の四つの政治潮流が存在する。

 bアラブ民族主義の潮流
 bクルド民族主義の潮流
 b共産党が所属している民主的潮流
 bイスラム潮流

 体制はこれらのさまざまな潮流を次々と弾圧してきた。反政府潮流はこの国に一貫して存在しているが、それは、極度の非合法下で活動しなければならないので、狭い組織網になっている。組織的な潮流がこの国に存在している大きな不満を導いて組織できないのはそのためである。

――国際的レベルで、戦争反対で実現すべき大衆動員の軸となるものは何になるだろうか?

 たとえ、ブッシュの宣言と進行中の戦争準備を眼の前にして戦争の可能性がますます大きくなっているとしても、われわれは、この戦争を阻止するために国際的な大衆動員を発展させなければならないと考えている。
 だが、この大衆動員は、イラク国内に向かわなければならない。イラク国内に変化が起これば、そうしたいっさいの変化はアメリカの介入の口実を空虚なものにしてしまうだろう。査察問題でわれわれが見てきたように、力関係が体制にとって不利なとき、体制側は譲歩するつもりになる。
 だが、イラク人民に、自らの要求を実現することができる大衆的運動を生み出すことを期待するのは、困難である。そのためには、イラクにおいて民主主義のための闘いに参加している勢力を援助し、支えると同時に、人権と民主化の分野で体制への圧力を行使しなければならない。同時に、西側諸国の現政府に圧力をかけなければならない。

聞き手:チャルロット・デクス

「ルージュ」(02年12月19日号)

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