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米国のイラクに対する武力行使を容認する国連安全保障理事会の新決議案の行方がなお不透明なため、日本政府の対応は難しさを増している。政府内には「採択は困難」との悲観論も出ており、安保理非常任理事国に再度働きかける方針だ。
小泉首相は3日の衆院予算委員会で「仮に米国が武力行使に踏み切る場合は、安保理決議に基づくことが望ましい」と改めて強調した。さらに、「決議が採択された後、イラクがどう判断するかまだ時間がある。それを見守ることも考えておかないといけない」と述べ、決議採択後のイラクの対応を踏まえて、政府として最終判断する考えを示した。
政府はこれまで、新決議の採択を楽観視してきた。最大の理由は、決議案不支持派の中でドイツと並んで強硬なフランスが、採決の段階では、少なくとも拒否権を行使せず、棄権に回ると予想していたためだ。
外務省内では、「『武力行使に反対』とたびたび明言してきたドイツと違って、フランスは『査察継続』を主張し、米国との決定的な亀裂にならないように気を配っている。最大限の国益を確保するため、最後に妥協するフランスの伝統的外交を今回も展開する」(幹部)との見方が支配的だった。
しかし、仏国内の世論調査などではここにきて、イラク軍事作戦への反対が80%以上に上ったほか、シラク大統領の支持率も60%を超えている。このため、外務省幹部は3日、「大統領は外交方針の転換が困難になっている。仏は拒否権を行使しかねない」との見通しを示した。
仮に拒否権が行使されなかったとしても、米国が採択に必要な9票を集められるかどうかも不透明だ。いまのところ支持派は米、英、スペインとブルガリアの4か国だけ。「ミドル6」と呼ばれる中間派のうち、2か国が反対か棄権に回っただけで決議案は否決される。ギニア、カメルーンは仏を旧宗主国に持ち、仏との結びつきは深い。また、メキシコも戦争反対の世論を抱えるなど、中間派各国ともすんなり米国支持とはいかない事情がある。
外務省幹部は3日、記者団に「米国は9票が獲得できないとわかれば、採決を求めずに武力行使する。日本にとって最悪のシナリオで、極めてやりにくい。なりふり構わず新決議を通すよう働きかけるべきだ」と語った。
政府はぎりぎりまで、国際協調確立に向けた努力を重ねる方針だが、決議なしに米国が武力行使に踏み切った場合は「日米同盟堅持」を理由に米国の行動に支持表明する方針だ。
(2003/3/3/22:40 読売新聞 無断転載禁止)