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不審船というお芝居第三幕・引き上げの茶番(4)観音扉の虚構
船尾に観音扉があると喧伝された“不審船”が引き上げられて、実際に
その扉が公開され、存在が証明された。
しかし同時に、扉としての機能である開閉装置も持たない、舞台装置の
欠陥セットに過ぎないということも、露呈する結果となった。
不審船が船尾に装置しているという観音扉は、陸上の平面的な扉と違っ
て、合わせ断面の殆どが、船独特の微妙な丸みをもった構造であり、片面
タテ3メートル弱、ヨコ2メートル強の扉の約5分の2が海中で、拝み合
わせに開閉するという、想像を絶するものである。
重い素材の鉄鋼物が、波浪の厳しい海中で浮いていられるのは、船体が
抱えている空気層だろうに、それを吐き出して、海水を取り込むというこ
とには、厳しい条件が必要になるだろう。
開閉の仕組みは、船体が丸みをもっていることや、水密要件も含めて、
海中での蝶番装置は適さない。
機械力に因るロットやアーム作動のためには、その取り付け局部だけで
3×2メートルもの鉄鋼材を維持するだけの、強力な固着構造が必須とな
り、防水を担う扉の辺は、多少の衝撃でも歪みや変形しない材質、構造が
要求される。
引き上げられた船の船尾は、どうなっていたか。
扉の辺の断面は、只船体を切断したような1センチほどの厚さのままで
、変形予防の補強は何も為されていない。
12月6日の調査結果発表時に、両扉の合わせ目となる右舷の辺には、
左舷扉のの受け手となる部分に、ゴムパッキンが填め込んであるとして、
別の説明写真を添わせ公表した。
その添わせた写真では、2枚の鉄鋼板を重ねてずらしたほどの厚さの構
造だから、合わせて締め付ければ両扉の表面は平らになるが、引き上げ船
の右舷の受け手の部分は、5、6センチも引いていて、合わせれば4、5
センチの段差が出来るのである。
それ程の段差を、パッキンで埋めるなど、水密構造として有り得ないこ
とであろう。
扉の付け根部分には、船本体側に受け手となる装置は全く無く、1セン
チほどの鉄鋼板の両辺を、只衝き合わせる態である。
開閉装置の仕組みは、どうなっているか。
拉致にも関与したとされる小船を収容する装置として、その仕組みは重
要な調査対象であるのに、海保は12月6日の発表で、
【扉】は、【エアー式で開閉するもの】と、言い捨てただけである。
普通用いられる油圧式ではなく、エアー式で扉をどのように作動させて
いたのか、その仕組みなどについては、全く言及が無いのである。
その仕組みに依って、小船の出し入れに、どれ程の時間を要するのかだ
けでも、沿岸警備の重要な資料となる筈だ。
【固定式機関銃を室外に出した】と言わないことと同様、何故、
【扉開閉の仕組み】について、黙殺しているのか??
それは、開閉装置そのものが、存在しないからであろう。
開閉のための機械装置は、左右上下4ヶ所になると思われるが、12月
6日に公表された、右舷の扉を90度開いた写真を見ると、開閉装置とし
ての、ピストンやシリンダーを含む装具が、全く付いていないのである。
正式発表では、触れていないが、お得意の黒子情報として、南日本新聞
は、12月7日の記事で、
【観音開きの扉は、エア圧で開閉する物とみられ、前部機関室にコンプレ
ッサーがあったという。】と伝えている。
この前部機関室の写真は、12月6日の海保発表時公開しているが、後
部2つのエンジンは中央寄せになっている関係で、前部2つのエンジンは
、舷側に寄せている。
従って、小さいメーンエンジンと同じくらいの容積を要する、コンプレ
ッサーを置くスペースなど無いのである。
それを誤魔化そうとでもするように、エンジン室の写真は他のものとは
異なり、実に不鮮明なものを載せている。
前部機関室から、船尾扉に空気圧を供給するためには、直線で20メー
トル以上の配管が必要になる。
供給距離が大きいほど、圧縮空気の配管損失が大きくなるばかりでなく
、海水の中では熱をもつ圧縮空気が冷やされて動力効果を損なう。
空気圧を貯蔵タンクから経由して供給したとしても、送られる圧縮空気
が熱をもっていることには変わらない。
そのような相反条件の中で、どんな作動装置になっていたのか。
調査を始めてから、2ヶ月半も経っての時点で、一見して判る開閉装置
の仕組みを曖昧にしているのは、作為に因るものであろう。
10月7日、扇国交相の視察を機に、小型船が収容されている観音扉を
開いて報道陣にも公開したが、発表された報道各社の写真は、両扉を半開
きにしたほぼ中央の視点で撮った、寸分の違いも無い全く同じものであっ
た。
添えられた文には、【代表撮影】という、タネが明かされていた。
その極点からは、扉の内側は見えず、恐らくは、近づくことも出来ない
工夫が、為されていたと思われる。
海保の担当官のほかは、扉の裏側を見た者は居らず、覗かれない工作が
なされている兆候がある。
海保は、腐食防止のためなどと称して、引き上げ船がプールに入れてい
る間に、船尾を加工もしている。
海底から引き上げられた時、船尾の高さ約3メートルの内、左舷の波よ
けの天辺から喫水線辺まで約1.5メートルは、20センチ程開いていたが、その下約1.5メートルは、何の亀裂も無く、開いている上の部分と、無傷の下部分との接点は、人工的とも見える┗┛形状になっていた。
それが、プールに入っている間に、その┗┛形の下が内側に折り曲げら
れ、蝶番風に加工されているのが、公開された写真でもはっきりと読み取
れた。
(陸揚げ前日、報道人に公開された時の写真で、朝日のが明瞭であったが、今は撤去されている。 南日本のは少し不鮮明)
毎日は写真を載せていないが、10月6日の記事で、
【船尾の観音開きの扉は、長さ約30センチの蝶番(ちょうつがい)がつ
いた本体外板との接合部に20センチほどのすき間が開いていたが、……】
と、伝えている
蝶番と見せかけるような、折り曲げ方なのであった。
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海中で開く大きな扉に、開閉駆動装置が、無い。
小船への出入り口はあっても、エンジン室への出入り口が、無い。
“壁に突き当たった”レールが、そのまま室外に続いている、怪。
70センチの出口から、“すり抜けた”120センチの機関銃から飛び
出し、巡視船あまみの船橋から見つかったT4.5ミリの弾頭の、怪。
小船収容のため居住区を追われた15人の船員たちの、生活痕が、無い。
船体に、航行痕が、無い。
まさに、ユーレイ船である。
T2月6日の、海保の調査発表は、このユーレイ船に“足をつける”と
いう作業の産物作文と、言える。
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2月28日、地球に住む大多数の人々が反対する、アメリカの理不尽な
戦争挑発に、日本政府は、いち早く「支持表明」した。
【戦力不所持】【武力行使の放棄】の国是は、“不審船のハイカイ”で
論議タブーの流れを、創出し、最先端の武器イージス艦を派遣………そし
て、アメリカの戦争への道を開く新決議の、お先棒を担ぐ多数派工作に乗
り出すという、破廉恥、不法行為に猛進した。
不審船騒動に関わる、政府、海自、海保がみせた数々の矛盾且つ不審な
対応への疑問は、国是論議を越えるための“お芝居”という視点に立てば
、氷解するのである。