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バグダッド市民、自衛の防空壕 無力と知りつつ…
バグダッド郊外の住宅の庭で、市民が防空壕(ぼうくうごう)掘りを急ピッチで進めている。空爆に備えた自衛措置だ。ちっぽけな穴が、無力であることは十分承知している。でも、ほかに方策は見当たらない。人々はひたすらスコップを握る。
バグダッド南西のアルカーディセイヤ地区は中流の人々が多く住む閑静な住宅地で、庭付きの一戸建てが並ぶ。ほとんどの家庭で、2月末からそれぞれ一家総出の防空壕掘りが始まった。
タクシー運転手であるとともに、電器部品販売店を営むアフマド・ジュワーズさん(38)は2月28日、一家7人で作業を行った。自宅には8メートル四方の庭がある。深さ2メートルの穴を、縦3メートル、横2メートルにわたって掘った。あぐらをかいて座ると、7人が入れるという。
10リットル入りの飲料水用タンク2個を納めるスペースも設けた。防空壕の上部を覆う鉄板と、周囲に積む土嚢(どのう)も用意した。井戸もこれから掘る予定だ。15メートルほど掘り進めば、水がわき出すという。
末娘のハヤーちゃん(9)も、土嚢作りを手伝った。「米国は石油のためにイラクを攻めようとしている。イラクは絶対負けない。私たちは国を守ります」。真剣な顔で「愛国心」を語る。手と顔には土がべっとり付いている。
「大規模な空爆があれば、こんな穴ではひとたまりもないだろう。たとえもったとしても、穴の中で、子供たちが耐えるだけの時を過ごさねばならないのかと想像すると、やりきれない。掘っていて何度、途中でやめようと思ったことか……」とジュワーズさん。
自宅には政府から最近前倒し支給された2カ月分を含め、7人が6カ月間食いつなげるだけの食糧をため込んだ。非常用の発電機も200ドルで買った。3カ月分の稼ぎに相当する値段だった。
「家族を守るため、できることはすべてやっている。でも、これらが全部無駄になることを祈っている。平和が訪れて欲しい」。まとわりつくハヤーちゃんの髪をなでながら、ジュワーズさんは、そう話した。
(10:04)
http://www.asahi.com/international/update/0302/004.html