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パワーポリティクスに溺れる「平和志向」こそ「三下国家」への道 Re:三下国家の選択肢もある Re:現実の選択
http://www.asyura.com/2003/war24/msg/1078.html
投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 2 月 27 日 21:43:38:

(回答先: 現実の選択Re: 三下国家の選択肢もある ← Re: 【田中哲二・国連大学学長上級顧問】 [私はこう考える]イラク問題とニッポン [毎日新聞] 投稿者   日時 2003 年 2 月 27 日 13:41:44)

 少し巧みな政府広報的論文はある意味、最も危険です。
 実はこの田中哲二氏の論文こそ[「平和志向の経済大国」のふりをしようとする三下国家]を提唱ていると、私は感じます。そして「 」さんのおっしゃるようにそれは日本が今、採ろうとしている現実の選択です。

【田中哲二・国連大学学長上級顧問】 [私はこう考える]イラク問題とニッポン より

≫日本は「平和志向の経済大国」しか選択肢がない以上、民主主義や自由、人権、平等、「反貧困」といった国際正義を掲げ、紛争で被害を受けた民衆への配慮を行動で示すべきだ。具体的には武力行使でも平和的解決の場合でも、事後の復興にアフガニスタン復興を上回る経済的関与をいち早く表明する。「またカネで」と批判が出るかもしれないが、今度はNGOなど人も増やしたり、国際機関の復興計画作りに携わればよい。

 この部分にはかなり違和感を感じますね。
 たぶん田中哲二氏は、現時点での日本が可能な対応について述べているのでしょうが、この文面では将来に渡っても、「平和志向の経済大国」しかない、と断定しているように受け取れます。

≫民主主義や自由、人権、平等、「反貧困」といった国際正義を掲げ
 というのは聞こえは良いですが、「平和志向」というより、現在のブッシュ政権の主張と重なり、むしろ戦争支持に直結しています。

≫事後の復興にアフガニスタン復興を上回る経済的関与をいち早く表明する。
 なぜアフガニスタン復興を上回らなければならないのか…?
 この主張の裏には、アフガニスタンはもう済んだことで、イラク攻撃はこれから。そして日本は武力攻撃への支持を表明したことで、今回は強い批判を浴びる恐れがあるためという理由が存在します。
 「経済的゛関与゛をいち早く」という部分からは打算的な意味合いを感じます

≫「またカネで」と批判が出るかもしれないが、今度はNGOなど人も増やしたり、国際機関の復興計画作りに携わればよい。
 「またカネで」と批判が出るかもしれない、という部分は事実誤認と強迫観念によるものです。
 「NGOなど」の「など」の部分の議論が重要なのに省略されています。
 「復興計画作りに携わればよい 」という表現は、それによって批判から免れ、信頼を得られるという意味でしょうが、この表現は戦争は必要悪であるという主張に聞こえます。

 結局田中哲二氏の「平和志向」とは「三下国家」そのものなのではないでしょうか?
 「平和主義」ではなく「平和志向」という言葉を使っているところからも、「原則」が既に溶解しかけている気がします。
 戦争が始まる前は、自国の「原則」に基づいて行動するのではなく、
[たけ(tk)さん]のおっしゃるように…
>親分の軍事力をかさに着て、自分の利益(国益)のために弱小国家を恐喝する。
 戦争が終わった後は批判から免れるために、経済的関与をいち早く表明し復興に携わる。まさに、
>親分の軍事力が圧倒的であれば、(三下が、いかに恨まれ、軽蔑されようとも)、親分の力が継続し、親分のお気に召している間は、自国の政府の安全は確保することができる。
 という「三下国家」ですね。

 ただちょっと違うのは
「いかに恨まれ、軽蔑されようとも」という部分です。
 これは今の日本がもっとも苦手とするところ。
 小泉首相や川口外務大臣を見てもそうだし、世論やマスコミさえその傾向がありますが、日本は「批判」というものに弱い。非常に批判に過敏な気がします。
 「批判」を恐れるがゆえに、意思表明を遅らせたり、
 「弱腰」との批判を恐れるがゆえに「毅然とした」強硬論に走ったりします。
 アメリカからの「批判」を恐れ、「諌言」の一言もいえず、
 世界の「批判」を恐れ、戦後の復興に携わることで理解と信頼が得られると思い込む。


 田中哲二氏は最後に
≫日本が「単純に米国に追従しているだけではない」と人々に記憶される行動を取る…。
 ということを訴えていますがこれもイスラムの「批判」を恐れているだけではないでしょうか。

≫超大国の暴走を防ぐことが必要だ。
≫日本政府はもっとイスラム圏の民衆の目線を意識すべきだ
 という論文のテーマには賛成ですが、論文の内容はそれと矛盾するものです。だいいち戦争前にとるべき態度について全く触れられていません。戦争に反対するのか、またはどういう条件付で賛成するのか、国連というものをどう位置付けるのか、などの「原則」というものが見えません。
 戦争前であろうと後であろうと、ある程度の「原則」をもって行動しなければ、イスラム圏の民衆の理解も、世界の信頼も得ることは出来ないでしょう。
≫核保有国にも核実験全面禁止条約(CTBT)早期発効や軍縮決議の早期具体化を迫り…
 という部分にも賛成ですが、原則と理念を持たず「三下国家」に成り下がった国の言に、誰が耳を貸すというのでしょうか?

 政府のコメントで繰り返し聞かされる、
 「状況を見て、日米同盟の重要性を考慮して、その時点の国益をに沿った判断をする」という発言は、原則や理念というものが皆無であることを表しており、国家としてもっとも軽蔑される態度だと思えてなりません。
 
 田中哲二氏に策動的な意図は無いと思いますが、なまじ説得力もあるだけに、戦争容認の政府広報の役割を果たす論文だと思います。

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