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イラク攻撃を進める米国に対して、ドイツのシュレーダー首相は戦争絶対反対の立場を打ち出し、イラク攻撃反対の急先ぽうとなっている。第2次大戦以降、米国に忠実な同盟国だったドイツの強硬姿勢に、米国は「同盟国の裏切り」ととらえ、米独間にかってない深い溝が出来始めた。【ベルリン藤生竹志】
「申し訳ないが、私には納得がいかない。納得がいかないものを国民に説明することは出来ない」。今月8、9日にミュンヘンで開かれた第39回安全保障政策会議でラムズフェルド米国防長官と同席したフィッシャー独外相は、長官に向かってその部分だけ英語で、語気を強めて訴えた。フィッシャー外相の視線の先でラムズフェルド長官は無言で苦笑を浮かべただけだった。
同長官は会議の席上、「すべての国に攻撃に協力してもらおうとは思っていない」と語り、ドイツをけん制した。さらに、会議前には「独仏は古い欧州」と切り捨て、「キューバやリビア、ドイツなどいくつかの国は何もしようとしない」とドイツをリビアなどと同列視した。
ラムズフェルド長官の発言は、「ドイツがあくまで攻撃に反対すれば切り捨てるぞ」という脅しとも受け取れた。
安保会議後、シュレーダー首相はベルリンでプーチン・ロシア大統領と会談し、イラク査察の規模拡大などを盛り込んだ戦争回避の独仏・査察強化案への支持を取り付けた。
安保理議長国のドイツは査察団の第二次報告を受けて始まる国連安保理協議の場で、査察強化案を提出し、あらためてイラク問題の平和解決を訴える見通しだ。
シュレーダー首相は13日の連邦議会(下院)本会議で「安保理でも攻撃に反対する国は多い」と述べ、各国の支持を得る自信を示した。
フィッシャー外相も、イラクが国連決議で定められた射程距離を越えるミサイルを保有していることが判明したにも関わらず「重大違反は今のところ見当たらない」と述べ、査察継続の必要性を強調した。
ドイツはナチス時代への反省から反戦機運が強く、シュレーダー政権の主要閣僚は反核・平和を党是とする「緑の党」出身のフィッシャー外相はじめ、戦後教育で反戦を徹底的にすりこまれた世代である。イラク攻撃反対の圧倒的世論を背景に強気な姿勢を緩めない。
しかし、「イラクが協力しなければ査察の延長は意味がない」と主張する米国が戦争回避の査察強化案に反発するのは必至だ。
そして、ドイツと共同歩調をとっているフランスやロシアの態度が軟化し、戦争容認に向かえば、ドイツは取り残される可能性がある。
逆に、独仏案が支持されれば米国のメンツはつぶれ、戦争反対の急先ぽうに立つドイツへのいら立ちがさらに膨れ上がる。
どちらに転んでも、完全に冷え切った米独関係は簡単に修復出来ないレベルに達している。
[毎日新聞2月14日] ( 2003-02-14-18:23 )