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『ニューズウイーク日本版2・19』は表紙に「開戦前夜」という表現が刷り込まれている。
その号のメイン記事「パウエル演説で開戦前夜へ」では、2・5のパウエル証拠演説が取り上げられている。
そのなかから一般メディアでは書かれない内容を引用する。
「パウエル演説で開戦前夜へ」P.18からP.23;
「<前略>
米ブッシュ政権からみれば、テロの脅威が差し迫っていることからこそ、イラクへ攻め込む必要性が増しているのだ。現にイラクとテロリストの関係は、先週のパウエル報告の核心だった。
だが情報部門の当局者たちは、アメリカの説明のなかで最も説得力に欠けるのがこの部分であることを認めている。
<中略>
フランスは査察官を2〜3倍に増やそうと提案しているが、「たとえ査察官が500人いたとしても、イラクの武装解除はできない」と、米国務省高官は言い放った。そして翌日、ブッシュは「ゲームは終わった」と宣言し、実質的に査察への支持を撤回したのである。
国連の一部には、過去のイラク査察では一定の成果があがっているのに、パウエルがそれを無視したという不満もある。
たとえばパウエルは、イラクが「最大で数十発」のスカッドミサイルを隠してきたと主張した。だが国連査察団は湾岸戦争後に、819発中817発のミサイルを発見している。また当時の「大量の化学兵器」も、ほぼすべての備蓄が廃棄されたことを査察団が確認している。
それでも、イラクの隠蔽工作に関する報告には一定の説得力があった。しかしテロリストとの結びつきに関しては、説得力を欠いていたと言わざるを得ない。
CIA取り込みの計算
「現在のイラクは、アブ・ムサブ・アルザルカウィ率いるきわめて危険なテロリスト・ネットワークの潜伏先になっている」とパウエルは主張した。「(アルザイカウィは)ウサマ・ビンラディンとアルカイダの一味であり協力者だ」
確かにイラクは、以前からパレスチナのテロ組織を支援してきた。だがアルカイダと結託しているという話は同時多発テロ後にブッシュ政権のタカ派が言いだしたものにすぎず、CIA(米中央情報局)の現場レベルではずっと疑問視されてきた。
安保理で報告するパウエルの後ろに、ジョージ・テネットCIA長官が控えていたのは偶然ではない。CIAとホワイトハウスのぎくしゃくした関係を気にしたパウエルが、安保理報告の作成にテネットらを参加させていたのだ。
<中略>
CIAのブッシュ政権に対する不信感が消えた様子はない。
<中略>
米政府筋によると、ヨルダン政府は2度ほどアルザルカウィの身柄引渡しを求めたが、イラク側に無視された。その後アルザルカウィは姿を消した。仲間の一部はまだバグダッドにいるという。
本誌が入手したドイツ警察の文書によると、アルザイカウィのねらいはヨルダン国王を暗殺し、イスラム国家を建設することだ。昨年10月にアンマンの米大使館員を殺害した犯人も、アルザルカウィから資金と武器の提供を受けていたとされる。
<中略>
だが米当局者の一部にも、こうした情報だけでフセインがアルザイカウィらに協力していると断定するのは無理だとする声がある。アルザルカウィらを操っているというより、彼らの存在をある程度まで見逃してやっているにすぎないのかもしれない。
さらに本誌が入手したドイツ警察の文書によると、アルザルカウィの一派は、イラクよりもイランと強いつながりがあり、通常はイランを拠点にしているらしい。
だがこうした疑念がブッシュ政権を思いとどまらせることはなさそうだ。その気になれば、ブッシュは新たな国連決議なしでもイラクを攻撃できるし、安保理もそのことを十分承知している。しかしブッシュ政権にも、戦後イラクの復興を国際社会の支援なしに引き受けるつもりはない。
だからこそ、まだ駆け引きは続く。イギリスを含め、ヨーロッパには今も、フセイン政権を打倒すればアラブ世界全体が民主化に向かうというブッシュ政権の楽観的な見通しに懐疑的な向きが多い。そんなヨーロッパの弱気を、ブッシュ政権は軍事行動を目前とした尻込みと一蹴する。
だが、ブッシュ政権内部でも意見集約できない問題がある。フセイン後のイラクがどこへ行くのかだ。戦争に勝つのは簡単かもしれない。だが、平和を勝ち取るのはずっと困難だろう。」