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【バンコク小松健一】タイ国軍最高司令部のピサヌ中将(報道担当)は13日夕、記者団に対して、国連安全保障理事会の決議なしに、米国が単独でイラク攻撃を行えば、「米軍との協力関係の見直しもありうる」と語り、場合によっては、5月に予定されている東南アジア最大規模の米・タイ合同軍事演習「コブラ・ゴールド」中止の可能性を示唆した。
タイはベトナム戦争時から米軍と軍事協力関係にある。82年に始まったコブラ・ゴールドは現在、多国間軍事協力の場に転換しつつあり、昨年は東南アジア諸国だけでなく中国、ロシアなど計18カ国がオブザーバー参加した。ピサヌ中将の発言は、米国の対イラク強硬姿勢が、こうした多国間協力を難しくしているとの認識を示したもので、米軍の地域安全保障戦略が揺らぐ可能性も出てきた。
同中将は「現時点ではコブラ・ゴールド実施の予定に変更はない」と語った上で、「米国がイラク問題で安保理に反する行動を採った場合、実施の是非を再考することになろう」と指摘した。
米軍は東南アジアで地域紛争が発生した場合、米軍が主導権を握りながら、タイ、シンガポール、フィリピンなど米軍との協力関係が深い国々を中心に紛争処理にあたらせる方針を立てている。このためコブラ・ゴールドでは平和維持活動の演習を採り入れ、シンガポールが00年に正式参加。今年以降、シンガポール以外に5カ国程度が正式参加する予定だ。
また米軍には、多数のオブザーバー参加国との交流を通じて、「米軍の地域プレゼンスを懸念する中国、ベトナムなどとの信頼醸成を図る」(バンコク駐在の米軍事顧問団高官)目的があり、将来的には対テロ協力など総合的な地域戦略の足がかりとする狙いもある。
だが、今年からの正式参加に合意していたマレーシアが一転して参加見送りの姿勢を示した。タイ国軍筋によれば、米国の対イラク開戦準備への懸念が地域的に広がり、タイ国内の演習実施地域の県当局も「米軍との演習がイスラム教徒や近隣諸国との関係に悪影響を及ぼす」との内容の異例の文書を提出し、演習実施に懸念を示した。
[毎日新聞2月14日] ( 2003-02-14-10:10 )