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政府は12日、対イラク査察継続・強化などをうたった仏独露3カ国の共同宣言をけん制し、対米協調路線へと軸足を移す姿勢を鮮明にした。日本は米国がイラク攻撃に踏み切った場合「支持」表明に向け、新たな国連安保理決議を採択させたい考えだが、欧米主要国間の対立先鋭化という最悪のシナリオも視野に入れ、数の上では「劣勢」となった米英の側面支援に乗り出した格好だ。
福田康夫長官は12日の記者会見で、仏独露共同宣言に対し「イラクに誤ったメッセージを与える可能性がある。国際社会が同じ考えで対応すべきだ」と懸念を表明。川口順子外相も「意見対立があると、イラクに利用される」と、独仏露とは距離を置く姿勢を打ち出した。
国際協調を基本としてきた政府が仏独露の動きにクギを刺したのは、欧米主要国の主導権争いの構図が鮮明となり、「武力行使反対の国際世論に取り囲まれた米国に同盟国としてサインを送る必要がある」(外務省幹部)と判断したためだ。
政府は(1)国連安保理で新たな決議採択(2)イラク攻撃への支持表明――が基本戦略。このため、攻撃姿勢を強める米英には新たな安保理決議採択を求める一方、仏独露などには国際協調を重視し、対米対立が突出しないよう自制を促してきた。
米国は「安保理決議の履行を求める新決議なら歓迎する」(アーミテージ国務副長官)としているが、14日の国連安保理で「査察継続・強化」となり、仏独露が主導権を握れば、イラク攻撃回避に向け新決議が見送られる事態も想定される。
川口外相ら外務省幹部が2月に入って頻繁に小泉純一郎首相と打ち合わせを行い、「日米同盟の重要性を前面に出すべきではないか」と主張してきたのも、「国際協調重視から対米協調路線への地ならし」(外務省幹部)の側面もある。
「米英VS仏独露中の構図が決定的になれば、国際協調は意味がなくなる。日本は米国支持を鮮明にする必要がある。北朝鮮問題は米朝協議が第一で、イラク問題で日米が違う方向を向くことはあり得ない」というのが、外務省の本音だ。 【及川正也】
[毎日新聞2月12日] ( 2003-02-12-22:25 )