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(回答先: NATO内の亀裂によるイラク攻撃の延期はない=米国防長官 [ロイター] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 11 日 20:42:07)
【ロンドン岸本卓也】イラク攻撃に向かう米国と攻撃に反対するフランス、ドイツの対立は、ロシアが仏独と連携したことで国連や北大西洋条約機構(NATO)という世界平和を支える国際協調体制を根底から揺さぶっている。イラク問題は、一国中心主義の米国に追随する国々と米国に歯止めをかける国々の対立に発展し、世界の安全保障の枠組みを大きく変える可能性が出てきた。
米英の性急なイラク攻撃に反対する仏、独、ベルギーの3カ国がイラク攻撃を想定したNATOのトルコ防衛支援策に拒否権を行使したことは盟主の米国にとって背信行為になる。さらに、イラク攻撃を回避したい仏独は冷戦時代にNATOの敵国だったロシアと手を結んだ。予想もしない事態に欧州各国は同盟崩壊の危機感を募らせている。
NATOのロバートソン事務局長は10日の会見で「情勢は深刻だ」と打つ手がないことを嘆いた。先月末に英、スペイン、イタリアなど8カ国は「米国と結束するべきだ」という趣旨の共同書簡を公表し、仏独を怒らせた。仏独のNATOでの事実上の拒否権行使は、英など米国支持派への報復でもある。
一方、ラムズフェルド米国防長官は仏独を「古い欧州」となじり、NATOに新規加盟した東欧諸国を「新しい欧州」とたたえた。東欧諸国は一斉に米国の対イラク強硬路線を支持した。長官は米国の世界戦略に従わない独仏を振り落とすことが狙いだったようで、米国が欧州の分裂を誘発した点が重要だ。
米国にとっての懸念は欧州連合(EU)に強力な欧州独自の軍事力を与えようとする仏独の動きだ。長官の仏独への挑発的な発言は仏独を欧州内部で孤立化させ、EUの軍事機構化を阻止することを意図したとみてよい。英国のフィナンシャル・タイムズ紙は「ラムズフェルド長官は欧州の分裂を喜んでいる」と指摘している。
しかし、米国から締め出された欧州の大国である仏独がロシアと連携したことは欧州だけでなく世界の安保体制にも大きな影響を与える。特に仏露は国連安保理常任理事国。米英主導の安全保障政策に抵抗する場面が増えれば、国連の権威や機能が低下する。「欧米列強の駆け引き」という前世紀の危険な世界の再現もありうる。
[毎日新聞2月11日] ( 2003-02-11-21:26 )