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【パリ森忠彦】フランスのシラク大統領は１０日、パリを訪問中のプーチン・ロシア大統領との会談後の記者会見で、ドイツを含めた３カ国の共同宣言を発表し、対イラク国連査察の継続と強化、大量破壊兵器の平和的な廃棄などを呼びかけた。１４日の国連監視検証査察委員会（ＵＮＭＯＶＩＣ）のブリクス委員長らによる国連安保理への追加報告を前に、３国が協調態勢を強めたことで、米英との亀裂がさらに深まりそうだ。
共同宣言は、査察について「成果を上げている」と評価。その上で、査察継続と査察態勢の「人的、技術的能力の強化」を求めている。しかし、査察団に国連部隊などの武装警備を伴わせる案については異論もあり、盛り込まれなかった。
また、「戦争に代わる手段は依然として存在する。武力行使は最後の手段としてのみ考慮する」と平和的解決の必要性を強調。イラクに対しては「義務を完全に果たさなければならない」と積極的な協力を求めた。
シラク大統領は「今日、開戦を正当化できるものは何もない。イラクの平和的な大量破壊兵器の廃棄が進むように努力する」と述べた。
プーチン大統領は「この問題は外交的解決を図らなければならない。軽率な行動は取り返しがつかない事態を生む」と、武力行使を急ぐ米国を暗に批判した。
独仏両国は１４日の査察報告を待って、この共同宣言を基に国連安保理で新たな査察支援案を提案し、イラク攻撃を急ぐ米英などをけん制する見通しで、ロシアも同調するのは確実だ。
プーチン大統領は９日のシュレーダー独首相との会談で、査察の強化で合意していた。シラク大統領は１０日、自ら空港でプーチン大統領を出迎えるなど、異例の応対ぶりで会談をリードした。
●３カ国共同宣言の要旨
【パリ支局】シラク・フランス大統領が１０日発表したドイツ、ロシアとの３カ国共同宣言の要旨は以下の通り。
一、ロシア、ドイツ、フランスは、イラクの武装解除が国際社会の共通目的であり、できるだけ早く達成されなければならないことを再確認する。
一、目的達成のあり方に議論はある。この議論は、米国やその他の国と我々との関係を特徴づける友好と尊重の精神に基づいて継続されなければならない。
一、国連監視検証査察委員会（ＵＮＭＯＶＩＣ）と国際原子力機関（ＩＡＥＡ）の査察はこれまでに成果を挙げている。ロシア、ドイツ、フランスは査察の継続と人的・技術的能力の強化を支持する。
一、戦争に代わる手段は依然存在する。武力行使は最後の手段としてのみ考慮することができる。
一、完全な査察の実施はイラクの協力にかかっている。イラクは義務を完全に果たさねばならない。
一、ロシア、ドイツ、フランスの立場が、国連安保理の多くの国と似ていることを強調する。
［毎日新聞２月１１日］ ( 2003-02-11-19:55 )
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