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米外交問題評議会:北朝鮮政策に関する提言 [フォーリン・アフェアーズ]
http://www.asyura.com/2003/war23/msg/633.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 10 日 23:32:12:


A Letter from the Independent Task Force on Korea

米外交問題評議会・朝鮮半島問題タスクフォース共同議長
モートン・アブラモウィッツ
ジェームズ・レーニー


リポートの全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。タスクフォース・メンバーのリスト、及び各メンバーがこの提言を支持しているかどうかはwww.foreignaffairsj.co.jpで公開している。

アメリカとその同盟諸国の反対だけでなく、中国の反対をも押し切って、北朝鮮が使用済み核燃料の再処理を進めれば、そのときは本当の危機が起こるかもしれない。こうした事態が現実とならないように、われわれは限定的エンゲージメント政策への将来的移行を踏まえた、多国間協調型の封じ込め政策をとるべきである。そのためにも、北朝鮮に誘因を与えることが適切と判断される場合には、その可能性を模索できるだけの政策上の柔軟性を残しておく必要がある。

<目次>
・核開発問題への多国間協調型対応を心がけよ 公開中
・今後の戦略を考える 公開中
・ブッシュ政権への提言

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核開発問題への多国間協調型対応を心がけよ

 「朝鮮半島で再び戦争が起きれば、特に韓国にとって壊滅的な事態となるが、それでもアメリカは、北朝鮮の核開発プログラム及び枠組み合意の違反を許すべきではない」。ブッシュ政権がこのジレンマに配慮し、北朝鮮が秘密裏に高濃縮ウラン(HEU)生産プログラムに従事してきたことに対して「慎重ながらも毅然とした対応」をみせていることは評価に値する。アメリカ政府は平壌に、核開発計画を放棄すべきこと、そして、合意を踏みにじったことに対してアメを与え、懐柔するつもりのないことを明確に伝えている。ワシントンは、戦争という脅威の高まりや、大きな危機が起きるのを回避するために、同盟諸国や中国との緊密な協調体制のなかで行動してきた。われわれタスクフォースは、米政府が日韓とともにとりまとめた最近の三国間宣言、その後の朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の合意を、同盟諸国の立場を調整する上での重要な第一歩とみなしている。韓国と日本による対北朝鮮対話路線の継続も、この困難な時期にあっては有意義な手段となるだろう。

 だが、北朝鮮の核開発プログラムをやめさせ、効果的な査察の実施へと持ち込むのは容易ではない。韓国は、接触や援助の打ち切りといった、強硬措置をとることには乗り気ではない。二〇〇三年二月に就任する韓国の新大統領が強硬な北朝鮮アプローチへと路線転換を図る可能性もなくはないが、基本的には、太陽政策の維持を模索し、軍事的危機へと至るような大きな圧力をかけることには慎重な態度をとるだろう。韓国では対米批判が高まっており、アメリカの朝鮮半島やアジア地域での立場が長期的に損なわれる危険もある。当然、韓国への対応は慎重でなければならない。

 日本は平壌の核・ミサイル開発計画に非常に神経を尖らせており、いずれ北朝鮮への経済援助を打ち切るかもしれない。だが日本もまた、接触を閉ざしたり、軍事的対立を招いたりするような動きをとることには消極的だろう。中国も、北朝鮮の核開発計画に対する懸念を共有しており、援助の見直しをするかもしれない。だが、経済制裁に同意する可能性は低い。北京の優先課題は、北朝鮮が崩壊するのを回避することにある。

 平和的に北朝鮮を非核化するには、同盟諸国から最大限の協調を引き出す必要がある。ブッシュ政権の強硬姿勢に気づいた北朝鮮はそれまでの態度を改め、その結果、北朝鮮とわれわれの同盟諸国との対話路線にも変化がみられた。ここ数年来、対外援助への依存度が高まり、大規模な軍事力を支えるためのコストも思うに任せない状態にある北朝鮮は、これまで以上に脆い存在と化している。こうして、経済状況のさらなる悪化、通常兵器戦力の形骸化という事態に直面した北朝鮮は、ついに経済改革に向けた第一歩を踏み出した。しかし、経済改革の成功は、日本を始めとする諸外国から大規模な援助を引き出せるかどうかに左右される。また、経済的苦境の高まりを別としても、北朝鮮は「サダム後」には自分たちが米軍の標的とされることを心配しており、アメリカとの間で不可侵条約を結びたいと表明している。最近の北朝鮮の声明には悲壮感すら漂っている。

 ブッシュ大統領が北朝鮮を攻撃する意図はないと繰り返し表明しているにもかかわらず、平壌はアメリカの軍事攻撃を恐れている。したがって、(北朝鮮の安全をめぐる)より直接的な安全保障上の確約をワシントンが与えない限り、北朝鮮が(自らを守るための)核抑止に必要な核開発計画を断念するとは考えにくい。

 また、国の制度が形骸化し、対外的な交渉上の立場が弱まっているとはいえ、北朝鮮がレトリックを強めたり、緊張を高めたりするような行動に出ないとは限らない。特に、平壌が、アメリカからの安全保障上の確約も、諸外国からの対外援助もとりつけられないと感じるようになれば、そうした行動に出る危険が高い(北朝鮮の指導者たちは、もはやアメリカから支援を引き出すのが不可能なことは理解しているが、それでも、他の諸国による支援をアメリカが阻止しないように願っている)。実際、アメリカとその同盟諸国が枠組み合意の放棄を正式に宣言すれば、北朝鮮は、寧辺の原子炉の使用済み核燃料の再処理に踏み切るかもしれない。

今後の戦略を考える

われわれタスクフォースは、朝鮮半島におけるアメリカの最大の目的は、北朝鮮の核やミサイルの脅威、最終的には通常戦力の脅威もなくして、半島の平和を維持し、強固な同盟関係を維持することにあると考えている。次に、この目的を実現するための戦略上の選択肢を指摘し、最後に提言を示す。

・第一の選択肢は、北朝鮮「孤立政策」をとり、対外援助の遮断を試み、最終的には、北朝鮮の政権が劇的な変化を選択するか、あるいは、崩壊するように締め上げることだ。政権交代が望ましいのは事実だが、現実的には制約が大きすぎる。政権交代路線を模索するには、日韓両国政府の協調が不可欠だが、この点での協調を引き出そうと試みれば、両国政府を国内的に困難な状況に追い込んでしまい、結局はアメリカと日韓の関係も損なわれる。中国も、北朝鮮を締め上げようとする試みには反対するだろうし、北京は北朝鮮の政権を存続させるだけの経済的手段を持っている。したがって、このアプローチでは、北朝鮮側に、使用済み核燃料の再処理や、開発計画を断念させることはできないし、他の諸国やテロリスト集団への大量破壊兵器輸出を阻止するのも難しい。

・第二の選択肢は、北朝鮮が核開発プログラムの放棄、本格的な査察の受け入れに向けた措置をとるまで「封じ込め政策」をとることだ。この場合、米政府高官の北朝鮮訪問禁止など、平壌への関与を最低限にとどめなければならない。ただし、状況が変化した場合に路線を変更する余地を持つ、様子見のための戦略として幅を持たせておく必要もある。この路線には、二つのことが必要になる。まず韓国に対して、接触や援助をやめるか、あるいは削減するように働きかけ、次に同盟諸国と中国が「国際社会の信頼を取り戻すための真の措置をとらない限り、ワシントンとの本格的な交渉は実現しない」と北朝鮮側に明快に伝えるように要請する必要がある。一方でアメリカは、国連やその他の諸国に、北朝鮮の核開発に反対していることをきちんとアピールしていかなければならない。しかし、この路線の場合、人道的措置として、食糧支援を続けていくことが必要になる。封じ込め政策は、孤立政策と比べれば、危機に至る可能性は低く、同盟諸国も短期的にはそれほど抵抗を感じないだろう。受け入れられる可能性も高い。だが、孤立政策同様に、封じ込め政策でも、北朝鮮が核能力をさらに強化するのは阻止できない。いずれ北朝鮮がわれわれの関心を引こうと新たに問題をつくり出す危険もある。しかし、中国がわれわれと協調すれば、北朝鮮がそのような行動に出るのは難しくなる。

・第三の選択肢は「限定的エンゲージメント政策」だ。この路線の場合、アメリカと北朝鮮は、「核開発計画の放棄と査察の受け入れ」と「外交関係の正常化と平壌への安全保障上の確約を与えること」を取引するバーター合意に向けた交渉を進めることになる(北朝鮮が求めているのが、攻撃しないという確約なのであれば、それを与えるのはさほど難しくはない。しかし、北朝鮮が駐韓米軍の撤退を求めているとすれば、それを前提に交渉が開始されることはあり得ない)。いかなる合意も、米朝両国の必要性を満たすことが前提だが、うまくいけば、北朝鮮に関するその他の懸案をめぐる交渉の余地も生まれるだろう。

*全文はフォーリン・アフェアーズ日本語版でご覧になれます       

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