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Guiding Principle for U.S. Post‐Conflict Policy in Iraq
◎共同議長
エドワード・ジェレジャン/ライス大学ジェームズ・ベーカー公共政策研究所・所長
フランク・ウィズナー/AIGグループ副会長
◎共同ディレクター
レイチェル・ブロンソン/米外交問題評議会シニア・フェロー
アンドリュー・S・ウェイス/ 米外交問題評議会フェロー
以下は、米外交問題評議会のイラク問題ワーキング・グループが二〇〇二年十二月に発表したイラクの戦後構想に関するリポートからの要約・抜粋。全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。
<目次>
・序言 公開中
・戦争の勝利を平和の勝利とするために 公開中
・戦後イラクでの長期的目的
・戦後における短期的現実への対応策
・「問題解決を押しつけることの危険」を認識せよ
・イラク石油資源の魅惑:現実と制約
・経済復興の重荷
・より安定した中東秩序の構築
・未来に向けて
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序言
アメリカその他の諸国は、イラクとの戦争に踏み切るかどうかをめぐる運命的な決断を迫られつつある。このリポートは、戦争に踏み切るべきかどうかについてのわれわれの判断を下すものではない。だが、アメリカ政府が、米本土に対する報復テロ攻撃の危険に備え、戦後イラクにおいて、アメリカとイラクを始めとする各国が何をなすかについて現実的な計画をとりまとめずして、戦端を開くことはあり得ない。米本土の安全保障について、米外交問題評議会はすでに、ゲリー・ハート、ウォーレン・ロドマンを共同議長に迎え「アメリカの備えはいまだ十分ではなく、危機にさらされている」というタイトルのリポートをまとめている。米外交問題評議会とライス大学ジェームズ・ベーカー公共政策研究所がまとめた今回のリポートは、二番目の懸念であるイラクの戦後構想をテーマとする。この研究が、より包括的な戦後構想の見取り図となることを期待する。
レスリー・ゲルブ(米外交問題評議会会長)
戦争の勝利を平和の勝利とするために
「現在のわれわれの行動は、将来どのような歴史的判断を下されることになるのか。歴史の判断は、戦争に勝利を収めるだけでなく、われわれが、将来における平和と安全のための機会を失われないようにできるかどうかに左右されるだろう」(コーデル・ハル、一九四三年、米両院合同会議での演説より)
いまやイラクに関する論争は、迫りくる軍事行動の可能性で埋め尽くされているが、これ自体は無理もない。しかし、アメリカと国際社会が戦後のイラクをどのように管理していくかのほうがはるかに重要な問題だ。それによって、イラク、そして中東全域の長期的な環境が左右される。ワシントンが戦後イラクでの目的を明確に定義し、この目的の実現に向けた国内的支持、そして、同盟諸国やパートナー諸国の支持をうまくとりまとめていかない限り、軍事作戦における勝利も、その後直面する困難な問題によって瞬く間に色あせてしまうだろう。そうなれば、アメリカは戦争には勝利しても、平和を失うことになる。
一貫性のある統合された対イラク戦後政策を書き上げるのは簡単ではない。そこでは、アメリカがどの程度の政治的洞察を持っているかが試されることになる。戦後の状態がどのようなものになるかを明確に予見するのは不可能だし、現地での事態は急速に変化していくと考えられる。それだけに、戦後構想を書き上げるという任務はますます複雑な作業となる。現在国際社会が合意しているのは、イラクで大量破壊兵器(WMD)の査察を実施することだけであり、国連やその他の諸国による戦後問題への本格的な関与はまだ白紙状態にある。
米外交問題評議会とライス大学ジェームズ・ベーカー公共政策研究所による作業部会(ワーキング・グループ)は、ブッシュ政権がイラクの再建とイラクとの和解を促進し、戦後の中東をより安全なものとするための一連の指針と優先順位をここにメモランダムとして整理した。
このメモランダムは、「比較的短期間の全面的軍事作戦が実施されること」を前提に書かれている。アメリカ軍が泥沼に引きずり込まれ、市街戦を長期的に展開するような最悪のシナリオは想定していない。
もちろん、サダム・フセインが国連安保理決議一四四一号(UNSCR1441)を完全に順守し、イラクのWMDプログラムを完全に解体すれば、軍事作戦は必要なくなる。さらに、イラク国内の反サダム勢力が、アメリカがイラクに侵攻する前にクーデターを起こし、それによって誕生した政権が、包括的な非軍事化プログラムを受け入れることに前向きな場合には、われわれが対イラク作戦を延期、ないしは放棄してもおかしくはないだろう。ただし、このメモランダムは、サダム・フセインがUNSCR1441の要請に応じず、それによってアメリカ軍主導型の軍事作戦が不可避となる非常事態を前提としている。
われわれは、ブッシュ政権が「短期的な必要性」と「長期的なゴールと目的」を区別して、表に示したような三段階アプローチをとることを提言する。主要な中期的課題は、イラクの現状を変えて、より安全で繁栄する未来を約束するような移行戦略を実施することにある。イラクの再建プロセスが、それに関与するすべての勢力にとって、複雑を極める危険で困難な作業となることを認識しなければならない。しかし、局面ごとに戦略を区別し、イラク人が自国の運命を決めるのに大きな役割を果たすようにすれば、「残忍な独裁者に代わって似たような新たな独裁者が誕生する」というこの国の歴史的パターンが繰り返される危険も、将来において介入しなければならなくなる可能性も低く抑え込める。さらに、イラク人にイニシアチブをとらせれば、アメリカが自国の利益ではなく、イラクの利益のために努力しているという認識を、国際的にも、中東地域においても高められる。したがって、イラク国内における適切な同盟勢力を見つけることが、イラクの主権を回復し、早い段階で占領を終了する上での大きな鍵となる。
われわれは、この戦略を全体的に監視するポストをアメリカ政府内に設けることを提案する。ホワイトハウスの全面的な支持を取りつけている人物を「イラク問題調整官」に任命し、このポストに広報外交担当の補佐官をつけ、補佐官が、各省庁の専門家によって構成される、イラクの戦後問題を担当するタスクフォースを統括するようにする。
これら三段階のアプローチを、中東及びイスラム世界を対象とする広報外交と連動して実施すべきである。アメリカ国内、ヨーロッパその他の地域におけるアメリカの政策や行動に疑問を感じている人々への対応も考えなければならない。イラクや中東の民衆が暴力的行動に出る可能性についても備えておくべきだし、短期的、長期的な介入の目的への支持もとりまとめるべきだ。
そうしたアプローチをとれば、中東地域での対米批判も幾分和らぐだろうし、そうなれば、テロリストや過激主義者たちが、アメリカの軍事行動への反発を、自らの政治目的のために利用するのも難しくなる。明確な国際的コンセンサスが存在するのは、「イラクのWMDを解体する必要がある」ということについてであり、政権交代、ましてや戦争による政権の交代についての確固たる国際合意は存在しない。こうした状況で、効果的な作戦を実施するのはますます困難になる。われわれは、終着点を踏まえた三段階アプローチの立案に政府が速やかに着手するように提案する。
*全文はフォーリン・アフェアーズ日本語版でご覧になれます
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