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http://www.yomiuri.co.jp/01/20030209i201.htm
北朝鮮がミサイルを発射した場合に備えて政府がまとめた内部資料「北朝鮮による弾道ミサイル発射事態対応方針」の全容が8日、明らかになった。北朝鮮がミサイルに燃料を注入するなど発射の兆候が確認された段階で、国民に事実を公表し、北朝鮮に中止を申し入れる。
1発目のミサイルが日本領土・領海に着弾した場合は、自衛隊を「災害派遣」の名目で緊急に派遣するとしている。北朝鮮は米国との交渉を求めて「瀬戸際外交」を強めており、政府は、北朝鮮による核兵器開発に向けた動きとともに、ミサイル発射を警戒している。
北朝鮮は1998年8月に弾道ミサイル「テポドン1号」(射程1500キロ以上)を日本列島越しに発射した。「ミサイル対応方針」は再発射に備えて防衛庁を中心に関係省庁が99年以降、検討を進めてきた。
対応方針は、ミサイル発射の兆候段階、発射直後段階、事態拡大段階の3つの段階に分け、政府が取るべき具体的措置を記している。
発射の兆候の察知は、ミサイル基地への北朝鮮の人員や部隊の移動などをもとに判断する。北朝鮮から「人工衛星の発射実験を行う」との事前通告がない場合は、兆候の察知は、米国の偵察衛星などの情報に頼ることになる。このため、兆候情報の収集や公表の時期については、米国と緊密に連携、協議する。
政府が発射前の兆候段階で、事実の公表に踏み切るのは、国民に注意を喚起するためだ。
発射後は、日本の領土・領海に着弾した場合と、日本領域外に着弾した場合の2つの事態を想定している。いずれの場合でも、昨年9月の日朝平壌宣言で北朝鮮が約束した「2003年以降のミサイル発射凍結」の違反となるため、制裁措置を検討する。領土・領海に着弾した場合は、安全保障会議と臨時閣議を緊急に開催し、北朝鮮への対応措置を協議する。
自衛隊の災害派遣で対応するのは、防衛長官の判断だけで出動を命じることができ、迅速な救援活動が可能だからだ。
ミサイルとともにテロや工作船など不法活動が見られる場合は、海上自衛隊への海上警備行動の発令や、領空侵犯への警戒強化、陸上自衛隊への治安出動の発令で対応する。
2発目以降のミサイル発射の兆候があるなど事態拡大が予想される場合は、首相が自衛隊に防衛出動を命じるとしている。 (2月9日08:39)