現在地 HOME > 掲示板 > 戦争23 > 399.html ★阿修羅♪ |
|
02/07 15:40 「蜂起」に口閉ざす住民 鎮圧されたシーア派の聖地 外信61
共同
イラクのフセイン政権下で冷遇され、一九九一年の湾岸戦争直後
に蜂起して徹底的に鎮圧されたイスラム教シーア派住民。米国の攻
撃に備えて戦時色が漂い始める中、バグダッドの南約百キロのシー
ア派聖地カルバラの住民は「蜂起」の歴史に固く口を閉ざしていた
。
乾いた青空に優美な曲線を描く金色のドーム。カルバラの中心を
占めるシーア派イマーム(最高指導者)フセインの聖廟(せいびょ
う)だ。フセインがこの地でウマイヤ朝軍に敗れた「カルバラの悲
劇」は、正義の抵抗を貫いた殉教物語としてシーア派宗教運動の原
点となった。
九一年三月、湾岸戦争の敗北をきっかけとしたイラク南部のシー
ア派の蜂起はカルバラにも及び、住民は政府機関を襲撃、一時は権
力を掌握した。だが、蜂起を呼び掛けてきたはずの米国は「シーア
派を支援せず」とそっぽを向き、イラク軍は住民の逃げ込んだフセ
イン廟を戦車で砲撃するなどして鎮圧した。
「大軍に立ち向かったフセインよ」。巡礼ガイドの声が響く廟の
中庭。青を基調にした壁面のタイルに十二年前の鎮圧の跡は見当た
らない。廟を管理するナスルラ師は「大統領の私財で修復された」
と説明する。
応接室の壁には同師と並んだフセイン大統領のパネル写真。ナス
ルラ師は「イラク軍が国境を守っている時、機に乗じてイラン人が
侵入し、一部の不良住民が加わって廟で破壊の限りを尽くした。神
の意思によりこうした野犬どもは処罰された」と語る。「蜂起」で
はなく「外国勢力と扇動された犯罪者の暴動」というのが政府見解
だ。
米国は昨年秋以降、イラク南部上空でフセイン政権からの離反を
促すビラを投下している。ナスルラ師は「古くさい戦術に惑わされ
る者などいない」と徹底抗戦を誓った。
カルバラの州庁舎や裁判所の前には、閑散とした風景に不釣り合
いな小銃を構えた警官が立つ。暴動への警戒なのか。
商店街の人々に「九一年の話を聞きたい」と尋ねたが、何度もか
わされた。ようやく応じてくれた服地店主ムハマド・フセインさん
(41)は言葉を選びながら「日本の戦時中の様子はあなたも知っ
ているだろう。ここでも同じような『戦争』があったということだ
」と話した。(カルバラ共同=長谷川健司)
(了) 030207 1539
[2003-02-07-15:40]