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　【ニューヨーク＝河野博子】パウエル米国務長官が５日、国連安全保障理事会で行ったイラク問題の情報開示で、国際テロ組織アル・カーイダの毒物テロリストの存在が新たに浮上、イラク政府との関係が指摘された。

　パウエル長官は、このテロリストが欧州を舞台にしたテロ計画も持っていたと警告した。

　このテロリストは、アブ・ムサブ・ザルカウィと呼ばれる、ヨルダン生まれのパレスチナ人。パウエル報告によると、アフガニスタンでアル・カーイダの毒物テロ訓練キャンプをまかされていたが、タリバン崩壊後、イラク北部のクルド自治区に逃げ込み、クルド人組織と衝突を繰り返すイスラム過激派「アンサール・イスラム」のもとで、毒物爆発物訓練センターの設立・運営を助けるなどしたという。

　昨年１０月のアンマンの米外交官殺害事件では、ヨルダン当局が「事件の容疑者はザルカウィ容疑者から指示を受けていた」と発表しており、国際テロを企ててきた可能性がある。現在までに仏、英、スペイン、イタリアでこの人物に関係して計１１６人が逮捕された。

　一方、パウエル報告は「アンサール・イスラムのトップレベルの幹部はバグダッド（イラク政府）の手先だ」として、同組織を媒介にしたイラクとアル・カーイダの結びつきを指摘、「２０００年にこの幹部が、アル・カーイダに対して、グループの支配地域内に安全な避難場所を提供した」と主張、ザルカウィ容疑者もバグダッドで足の治療を受けたとしている。

　また、〈１〉ビンラーディンがアフリカ・スーダンに拠点を持っていた９０年代初めに、少なくとも８回にわたり、イラク政府高官とアル・カーイダ幹部が接触〈２〉１９９６年、ビンラーディンはイラクの情報機関高官と会った――などの点も、明らかにされた。

　しかし、米戦略国際問題研究所の上級研究員、ダニエル・ベンジャミン氏は「今回初めて耳にした事実もあるが、両者間の長期にわたる組織的なつながりが描かれた、とは言い難い」と述べ、パウエル報告でイラクとアル・カーイダの関連が証明されたとは言えないとしている。（読売新聞）

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