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【カイロ=久保健一】フセイン政権後の新政権樹立を目指すイラク反体制派の内部対立が深刻化してきた。反体制派をまとめきれないイラク国民会議(INC)のチャラビ代表に対し、米政府内にINCとの関係見直し機運も出る中、新生イラクの指導者の座を狙うチャラビ代表の“独断専行”への反発が他派から強まっているためだ。イラク攻撃が迫りつつある中、ポスト・フセインの青写真は一層、不透明感を増している。
昨年12月のロンドンでの会合で設立が決まった反体制派の意思決定機関「調整委員会」の初会合は、議題をめぐる各派の意見相違から、当初1月中旬の予定が大幅に遅れ、ようやく今月15日開催と発表された。
こうした中、各派を束ねるチャラビ代表は先月31日、他派指導者に先駆け、クルド反体制派が実効支配するイラク北部スレイマニアに5年ぶりに入った。チャラビ氏は、クルド人勢力との「暫定政権作り加速のための協議が目的」と述べ、政権構想が進まないことへの焦燥をにじませた。
チャラビ氏としては、早期に暫定政権、あるいはその母体の「指導評議会」を設立し、米国とともに対フセイン攻撃の隊列に参加、フセイン後の統治者としての正統性を得たい思惑がある。INCを主体とした反体制派民兵3000人が1日からハンガリーで、米軍の指揮下で軍事訓練を開始したのもこのためだ。
だが、現段階での暫定政権作りについては、他派の反応は総じて冷ややかだ。親イランのイスラム教シーア派組織イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)のバヤティ報道官が「暫定政権は時期尚早」と述べたほか、親INCの立憲君主運動(CMM)すら「周辺国、国際社会の理解を得られない」(ムサウィ報道官)と距離を置く。かつてINCと共闘した「イラク国民合意」(INA)も、アラウィ代表が調整委員会欠席を検討していると伝えられる。
他派の冷淡な反応の陰には、反体制派に強い影響力を持つ米国が、微妙にINC離れの動きを見せていることがある。イラク国内で無名の上、反体制派を固め切れないチャラビ氏の能力への疑問からだ。
実際、米国は、チャラビ氏の北イラク入りに反対を表明。フセイン政権の結束を強める効果を生みかねないとの懸念と同時に、チャラビ氏のポスト・フセインの地位を現時点で既成事実化したくないとの思惑があると見られる。
一方で、米政府は、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)が先月中旬にINAのアラウィ代表と会談したと米紙ニューヨーク・サンに報じられたほか、米中央情報局(CIA)がアラウィ氏との接触を活発化させているとも伝えられ、INC以外のパイプ強化に動いている模様だ。
イラク支配政党バース党、イラク軍出身者などで構成されるINAは、米政府内で「非民主的」との懸念もあるが、現政権の権力基盤にパイプを持つ点が、比較的円滑な政権交代や政権内部からの離反を可能にするとして期待を寄せる向きもある。ポスト・フセインの基軸が定まらない状態は続きそうだ。
(2月4日23:47)