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ホワイトハウスには半旗が掲げられ、テレビ局はCMを取りやめて「コロンビア」のクルーを追悼している。沈うつな空気が街頭を覆い、イラク攻撃関連の洪水のような報道も、この日ばかりは画面から消えた。「チャレンジャー」爆発事故(86年)、同時多発テロ(01年)に次ぐ悲劇がまた米国を襲った。
「9.11」の時と同じようにブッシュ大統領はテレビを通じて全米に演説し、人類のために尊い犠牲になったクルーの勇気をたたえた。そして、宇宙開発計画はやめないと念を押した。
ブッシュ政権にとっては、これからの1週間がイラク攻撃に向けて国内外の慎重論を押し切る正念場だった。パウエル国務長官の国連安保理への「新証拠提示」(5日)を軸に、一気に軍事行動の環境作りを進めようという矢先に事故は起きた。ブッシュ大統領の「戸惑い」と「焦り」は想像に難くない。
チャレンジャー事故が発生した17年前、レーガン大統領は当日夜に予定していた一般教書演説を1週間延期した。初めは「この種の悲劇があったからといって、国を治めることを中止するわけにはいかない」と強行する構えだったが、夫人をはじめ取り巻きから説得されたといわれる。シャトルの事故は、米国民にとってそれほど重い。
しかし、レーガン大統領は1週間後の一般教書演説で「米国は宇宙計画を完全に遂行する」と宣言し、事故を国民結束のバネに使った。
「政治」と「事故」の関係は微妙だ。イラク攻撃を口にするのもはばかられる服喪の中で、ブッシュ大統領も早晩、論理の転換を図るだろう。
冷戦時代から、宇宙開発はそれ自体が国威発揚の手段だった。米航空宇宙局(NASA)の最先端の探査計画は民間の技術開発をリードし、軍事産業を支えた。米国経済全体がその恩恵に預かってきたのだ。
レーガン大統領の「宇宙計画遂行」発言にもかかわらず、実際にはシャトルの打ち上げはチャレンジャー事故後2年8カ月中断した。惨事が繰り返された今回は、現在のシャトル計画が廃止に追い込まれる可能性すら否定できない。「威信」と「現実」のギャップが知らぬ間に広がっていたように思えてならない。
チャレンジャー事故は「O(オー)リング」と呼ばれる部品に不具合があるのを知りながら危険な低温下の打ち上げを強行したのが原因といわれる。今回の原因究明は始まったばかりだが、液体燃料タンクの断熱材の脱落がこれまで度々確認されながら、根本的な対策がとられてこなかったことがNASAの記者会見からうかがえる。人為的ミスだったとすれば、問題は深刻だ。
政治に翻弄(ほんろう)されて、宇宙開発計画は危うい橋を渡りかねない。国民結束を言う前に、まず徹底した原因調査が必要だ。
【ワシントン河野俊史】(毎日新聞)[2月3日0時41分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030203-00000098-mai-soci
◆今回のスペースシャトルの事故も、イラク攻撃も、アメリカの国力の衰退を現すものである。アメリカは国家予算の多くを軍事予算につぎ込み、世界支配を強めようとしている。その結果他の予算は削られる。NASAもその犠牲者だ。多くの軍事予算は、戦争をしなければ見返りがない。だから石油を持っているイラクを攻撃しようとするのだ。しかしその事はアメリカにとって取り返しのつかない障害となって降りかかってくることになる。