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【ロンドン山科武司】イラク攻撃をめぐり、英国では、ブレア首相が米国寄りの強硬な立場を維持する一方、市民に反戦機運が高まり、与党労働党内にも攻撃反対の「造反組」が増えている。国連安保理が武力行使を容認する新決議の必要性をめぐり国内対立が際立ってきた。米国が新決議なしの単独攻撃に踏み切った場合、ブレア首相が攻撃参加をどう国民に納得させるか難しい局面を迎えそうだ。
ブレア首相は22日、下院で、イラク攻撃について演説し「フセイン・イラク大統領の国連決議違反が明確で、(攻撃を容認する)第2の国連決議採択に、不当な妨害があった場合は、軍事攻撃を支援する」と述べ、国連安保理でフランスとドイツが査察延長を主張し、軍事攻撃に難色を示しているのをけん制した。ストロー英外相は23日、米ワシントンに到着。27日に迫った国連査察団の安保理報告に向けて対応を協議する。ブレア首相本人も31日、訪米しブッシュ大統領と会談する。
一方、英国内では戦争に慎重な対応を求める世論が各界で高まっている。昨年11月、早くもショート国際開発相が「武力行使には国連の新たな決議が必要」と閣内から声を挙げた。いまでは与党・労働党の下院議員412人のうち、少なくとも100人が新決議抜きの武力行使に反対し、うち30〜40人は決議の有無にかかわらず、戦争に反対するとみられる。
保守党はイラク政権打倒に賛成でブレア首相を支援する。ダンカン党首が、ブレア首相の発言のぶれを批判するほどで、”ねじれ”現象が起きている。自由党は新決議を求める方針だ。国会内ではブレア路線は安泰にもみえるが、国民からの風当たりは厳しい。
ガーディアン紙が21日発表した世論調査によると、対イラク戦への「反対」は47%で、昨年10月の37%から増えた。「武力行使には新たな国連決議が必要」と答えた人は81%に達し、「武力行使は無条件で可能」に賛成は10%に過ぎない。
特殊空挺部隊の元司令官、ローズ将軍は「私が指揮官ならば、本当に納得できる根拠を示されない限り、部下を戦闘に送り出せない。今回はその根拠が示されていない」と語っている。宗教界からも戦争に疑問の声があがり、英国教会のハリス・オックスフォード主教は「戦争が道義的に許されるために、国連の新決議は絶対に欠かせないものだ」と訴えた。
[毎日新聞1月23日] ( 2003-01-23-21:30 )