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外務省・警察庁・防衛施設庁の縦割行政の弊害暴露:「統計ない」米軍犯罪、実は存在 【毎日】
投稿者 転載バカボン 日時 2003 年 1 月 22 日 11:04:03:

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030122k0000m040172000c.html
1月22日 3:00
情報公開:「統計ない」米軍犯罪、実は存在

 95年の米兵による沖縄・少女暴行事件以降、一時は沈静化の兆しを見せていた在日米軍人による犯罪が急増している。01年の発生件数は、ついに事件当時の95年を上回った。21日には、少女暴行事件を契機にした在日米軍幹部対象の再発防止プログラムが始まったが、数字を見る限り、取り組みは成果を上げていない。犯罪の状況を示す各種統計も公開されないものが多く、在日米軍人の犯罪は、実態が国民に十分周知されないまま増え続けている。 【大治朋子】

◇役所の説明 二転三転

 在日米軍人による犯罪は全国でどれぐらい起きているのか。実は、この件数はこれまでほとんど知られていなかった。

 今年1月中旬、毎日新聞の取材に、外務省は「全国統計は把握していない。沖縄県警の統計を使用している」「沖縄には6割の米軍人がいるので、沖縄県警のデータで状況把握は十分可能だ」と回答し、警察庁の担当者は「軍人に限定した全国統計はない」と説明した。

 ところが、全国統計は存在していた。「毎年、警察庁に報告を上げている。全国統計はあるはずだ」(神奈川県警の担当者)という指摘を受けて、取材を続けたところ、警察庁側は説明を訂正し、犯罪統計の中の外国人犯罪のカテゴリーの1項目にあることを明らかにした。外務省は21日、いったん「全国統計があるのなら、今後は活用したい」とコメントしたが、同日夕になって「資料の中から全国統計が見つかった。活用したこともあったかもしれない」と訂正した。犯罪実態への関心の低さは、再発防止の意欲さえ疑わせかねない。

◇再び急増 5年で2.5倍

 一方、21日から始まった在日米軍幹部への「オリエンテーションプログラム」には、歌舞伎鑑賞が盛り込まれている。昨年までは、東京見物など観光日程が数多く組まれていたが、昨年12月、毎日新聞が報道でこの事実を指摘し、大幅に削減された経緯がある。川口順子外相は、21日の閣議後会見で、歌舞伎鑑賞が行われる理由を「日本を理解してもらうことが大事だ。歌舞伎には日本文化が凝集されている」と説明した。

 今回の取材で確認した警察庁の全国統計によると、少女暴行事件のあった95年、米軍人による殺人、傷害など刑法犯や銃刀法、覚せい剤取締法など特別法違反事件(交通関係除く)は合わせて140件に上ったが、翌96年には67件に半減した。しかしその後増加傾向に転じ、01年には164件となり、5年間で約2.5倍に増えた。

 軍人に加え、その家族や軍属(基地で働く米国人)を含めた刑法・特別法違反事件も01年は223件で、113件だった96年の約2倍。軍人による特別法違反事件も01年は78件で、16件だった96年当時の約5倍になっている。

 背景にあるのは薬物事件の急増だ。年間数件前後だった麻薬等取締法違反事件が00年に12件(うち沖縄県警が1件検挙)、01年には37件(同)に増加。覚せい剤取締法違反事件も01年に17件(同3件)発生、総数を押し上げている。薬物事件の大半は、沖縄県以外の基地で起きている。

 沖縄には在日米軍全体の約6割の軍人が駐留しているが、01年の在沖米軍人、軍属、家族の検挙総数は78件で、全国223件の約3分の1にとどまり、残りは神奈川県の横須賀基地など他県で発生している。「沖縄県警のデータで状況把握は十分可能だ」としてきた外務省の説明とは食い違う実態が明らかになった形だ。

◇補償内訳は非公開 防衛施設庁

 被害者の要請を受け在日米軍側との補償交渉の窓口を務めている防衛施設庁も、全国の防衛施設局から在日米軍人やその家族、軍属による事件、事故の報告を集約している。

 それによると、認知した事件事故は96年度の1366件(公務上243件、公務外1123件)から、01年度の1733件(同345件、同1388件)と、5年で1.3倍に増えている。

 このうち日本や米国が補償金を支払ったケースは01年度で383件で、過去5年の件数はほぼ横ばい。認知総数が増えているため、補償に至った件数との差は年々広がっている。

 しかし、防衛施設庁はこうした認知件数、補償件数の内訳を明らかにしていない。理由はそれぞれ、「一義的な情報で正確性に欠ける」「内容別に分けると1件しかないものもあり、個人の補償内容が推測される恐れがある」ためとしている。

◇「対策に情報提供を」女性団体代表

 「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」(那覇市)の共同代表を務める糸数慶子・沖縄県議は「さまざまな事情で警察に被害届を出せない被害者もおり、防衛施設庁は警察以上に詳しい情報を持っている。件数が急増している以上、住民が犯罪傾向を知り、十分な対策が講じられるよう、国や自治体は、もっと情報提供に努めるべきだ」と指摘している。

[毎日新聞1月22日] ( 2003-01-22-03:01 )

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