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大量破壊兵器の尻っ尾を出さないフセイン大統領。宿敵ブッシュ大統領にやや逆風が吹き、開戦時期も3月以降にズレ込む?
なかなか核査察で大量破壊兵器の尻っ尾を出さず、イラク周辺への部隊展開が若干遅れ、ブッシュ米政権と弟分のブレア英政権に大義名分でやや逆風も吹く。単なる強がりなのか、宿敵フセイン大統領も「迎え撃つ準備は万全」と少々逆ギレ気味。影武者による陽動作戦と亡命説、人間の盾と油田爆破説も流れる。クラッシュ寸前の日本経済を巻き込む開戦時期が3月か4月にズレ込むにせよ、超ハイテク兵器の米軍に対し、旧式のイラクに勝ち目はない。
◆遅れるXデー
「米国は準備ができている。平和を守るために慎重かつ決然と行動する。我々は勝つ」「なぜなら、我々は世界で最も優れた軍隊だからだ!」
年明けの3日、ブッシュ大統領は陸軍最大のテキサス州・フォートフッド基地で約4000人の米兵を前に気勢を挙げた。
米軍の増強はやや遅れながらも、すでに湾岸地域6万人が展開する。2月中には15万人規模に膨れ上がる。
駆逐艦や攻撃機を展開する英軍も、空母アークロイヤルを中心とする機動部隊が11日、湾岸地域に向け出港した。
臨戦態勢が整うに従い、「2月上旬開戦説」が主流だったXデーはここへきて、大方の観測が「3−4月説」に傾く。
「10日前後から、ブッシュ政権内の空気が変わり始めている」と外交関係者は説明する。
「(国連査察団の報告書が提出される1月27日は)必ずしも決定を下す時期ではない」(パウエル国務長官)
「ブッシュ大統領はいかなる攻撃の予定表も示していない」(フライシャー米大統領報道官)
開戦のズレ込みを示唆する発言が相次ぐ。理由の1つは、軍事的なコマ不足である。
「15万人といっても、艦艇の乗組員なども含んでいて、空爆と並行する地上戦の兵力はせいぜい6、7万人。国境のクウェートから600キロも離れたバグダッドまで進軍して、占領するのは無理だ。必要な兵力をそろえるにはまだ時間がかかる」(米軍関係者)
「15万人で開戦して追加派遣も考えられないでもないが、あてにしていたイラク内部での反乱が起きないなど、最初の計画がコケたときに、次の手が打てなくなる」と雑誌「軍事研究」の大久保義信氏も強調する。
「米軍が断トツ有利」とはいえ、イラク軍やフセインのマインド・コントロール下にある国民がゲリラ化すると、「砂漠のベトナム化」するのが必至だからである。
◆証拠なし?
開戦がズレ込む観測の根拠は、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)による査察で、イラクが大量破壊兵器を開発しているという「決定的な証拠」がまだ見つからないこともある。
「完全な報告をまとめるには、まだ数カ月必要」。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長はここへきて、査察長期化を示唆する発言を繰り返している。
20日には、国連査察団などは査察活動強化に向け、イラク側と大量破壊兵器禁止法制定など10項目で合意した。
イラクはかつて拒否した大統領宮殿への査察を2度も認め、表向きは「恭順」の意を示す。だが、16日になって、バグダッド南の弾薬庫で空の化学兵器用ロケット弾頭11発が見つかった。
米国が「決定的証拠だ」と勢いづくのに対し、イラクは「約20年前のもので使用期限が切れており、昨年12月に申告済み」と反論する。
18日にはイラク人物理学者宅からウラン濃縮技術に関する3000ページにも及ぶ文書が見つかり、綱引きはまだ続く。
過去にはクルド難民などにサリンやマスタードガスを使っているが、今回は徹底的に生物・化学兵器を隠匿しているようで尻っ尾を出さない。
サーディ大統領顧問が自信満々に「米中央情報局(CIA)が査察に加わってもいい」と余裕の発言をするほど。
すでにCIAや特殊部隊を潜入させている−との機密情報も流れ、米情報機関の機密情報がある程度、査察団に提供されているともいわれる。
米国の本音は国際社会を納得させるため、本格的な大量破壊兵器を見つけ、攻撃の大義名分にしたいこと−といわれる。
米国の強硬姿勢に流され気味だった国際世論も一枚岩ではなくなり、米国にやや逆風が吹く。
米国と同一歩調のブレア首相も13日、「イラク攻撃には国連承認を受ける」との意向を表明するなど揺らぎ始める。
◆最後の手
だが、攻撃が回避されたわけではない。最近、逆ギレ気味のフセインは17日、「我々は侵略者を撃退する用意と決意ができている。バクダッドの城壁を上ろうとする者は失敗するだろう」と首都防衛に虚勢を張る。
イラクが軍事的に圧倒的に不利な状況も、変わっていない。因縁の湾岸戦争時でさえ、米軍のハイテク兵器になす術がなかったイラク軍だが、その差は開くばかりだ。
精密誘導弾1つ取ってみても、湾岸戦争時に約9%だったのが、アフガン攻撃の時には約60%にまで増加している。
「開戦すれば数週間で終わる」(軍事ジャーナリストの恵谷治氏)というありさまである。
戦端が開かれれば、崩壊しか道がない。とすればフセイン大統領が“最後っ屁(ぺ)”をかます可能性だってある。
大久保氏は「アフガンのビン・ラーディン以上に、バグダッドなどでの市街戦では、フセインの影武者が随所に出没するのでは」と予測する。
陽動作戦の一方、フセイン大統領自身はやすやすと国外にトンズラ…。
重要施設には『人間の盾』を築く。米国お目当ての油田を爆破し、生物化学兵器でイスラエルなどを攻撃−という最悪シナリオも想定される。
イラク軍機関紙「アルカディシャ」は4日、「これまで、『人間の盾』に10万人が応募してきている」と報じている。
亡命に関しても、英紙タイムズが昨年11月、「フセインが約4200億円と引き換えに、家族と側近のリビア亡命を計画中」と伝えている。
最近は「ベラルーシ説」「ロシア説」「シラク仏大統領の斡旋(あっせん)によるアラブ諸国説」なども流れる。
16日には、自らの訴追免除などを条件に、フセインがアフリカの某国に亡命することに同意した−との情報も流れた。「サウジアラビアがイラク軍幹部に対し、国連恩赦を条件にクーデターを呼びかける構想を検討中」との報道もある。
アジズ副首相らイラク側はいずれも否定するが、「フセイン政権の動揺を狙って、意図的に流されているのではないか」と中東筋は分析する。
武力攻撃の前に、し烈な情報戦が先行する。
「独裁政権が権力を奪い合っていたイラクを一つにまとめ上げた男で、状況もよく読めるし、忍耐強い」(「中東研究」編集長の水口章氏)
こう評されるフセイン大統領だが、どんな極悪非道な手を使うのか。
ZAKZAK 2003/01/21