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1月中旬に予定されていたイラク反体制派の統一的な意思決定機関「調整委員会」の初会合が延期された。背景には、2月早々ともいわれたイラク攻撃に対する国際社会での疑問の高まりがある。フセイン政権の崩壊が遠のくなら、いまバグダッドの庭先に集まるのは得策でないとの判断だ。12月のロンドン会議でかろうじて団結を示した反体制派だが、「サダム打倒」のかけ声が、外国頼みである弱みをさらけ出した。
ロンドン会議で設置された「調整委員会」は、初会合を1月15日にクルド人自治区で開く予定だった。クルド、イスラム教スンニ派、同シーア派の代表3人による指導部選出が主要議題だ。
1月27日にはイラクの大量破壊兵器に関して、国連査察団が国連安保理に報告する。これがイラク攻撃の引き金になるとの見通しから、その前にフセイン後の受け皿の具体的な姿を示す狙いだった。自治区とはいえイラク国内に反体制派が集結すれば92年以来で、強い決意を示すことにもなる。
ところが、欧州には反戦ムードが広がり、イラク周辺国は戦争回避に向けた首脳外交を活発化させている。トルコ、サウジアラビアなど米同盟国も攻撃への協力を渋る。ブッシュ政権も、2月上旬としていた攻撃の判断時期を先送りする情勢となった。
クルド愛国同盟(PUK)のムフティ副首相は朝日新聞に「延期の最大の理由は治安上の不安だ。自治区はイラク軍の砲撃の射程内にある。われわれは、国際社会のすべての対話や動きを注意深く見ている」と述べた。
反体制派には苦い経験がある。91年の湾岸戦争後、北部のクルド人と南部のシーア派はフセイン打倒に蜂起した。しかし、期待した米軍の支援はなく、逆にイラク軍の反撃で大量の死者と難民を出した。
米国の支援は反体制派の命綱だ。ワシントンからの報道によると、ブッシュ大統領のイラク問題担当特使カリルザード氏は「米英が行っている通常の監視飛行以上の保護策をとれる可能性があるのは2月上旬になってから」と暗に開催延期を求めたという。
これを受けて、自治区を管理する2大政党、クルド民主党(KDP)とPUKは16日に協議し、会合の延期を決めた。
PUK筋によると、会議参加者に対するイラク周辺国のビザ発給の遅れも一因だという。欧米在住の反体制派が、空港もない自治区に入るにはトルコ、イラン、シリアのいずれかから陸路で国境を越える必要がある。
この3国に加えサウジアラビア、ヨルダン、エジプトのイラク周辺国は23日にもアンカラで首脳会議を開く予定だ。イラク問題の平和的解決を訴え、フセイン大統領に対して国連への積極的な協力を求めるなどの圧力をかける見通しだ。
PUK筋は「フセインに圧力をかける一方で、ビザ発給などで反体制派に協力するのは矛盾するということだろう」と話している。 (23:26)