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【パリ=池村俊郎】欧州連合(EU)諸国で、対イラク攻撃に対する慎重論が改めて強まってきた。今月27日のイラク査察報告後も査察を継続すべきだとの声が出てきたことに勢いを得たもので、今後、イラク問題をめぐる国連安保理での議論の行方が注目されている。
国際原子力機関(IAEA)の報道官は13日、米CNNテレビを通じ、「査察には1年はかかる」と言明した上で、「安保理は、喜んで査察団に必要な時間を与えると信じている」と述べた。さらに、米英両国からも、査察報告後にイラク攻撃に向けた緊張が一気に高まるとの予想を否定する発言が続いている。
こうした動きを受け、今年前半のEU議長国となったギリシャのシミティス首相は、「全加盟国が歩調を合わせ、戦争回避に向けてあらゆる手段をとる」と表明し、ハビエル・ソラナEU共通外交安全保障上級代表も「違反の証拠なしに開戦は難しい」と繰り返している。
国連安保理には、今月から英、仏に加えてドイツ、スペインが非常任理事国として参加し、EU加盟国が4か国に増加。さらに英政府にも査察継続論が強まったこともあり、安保理でEUの重みが増しているとの認識も広がっている。
特に、仏政府はドビルパン外相が安保理メンバー国に対し、「米英にイラク関連の秘密情報開示を求める」と書簡を出し、現時点では戦争には証拠不足と主張することで、米国の独走にクギを刺す行動に出た。仏外交筋は今月27日の査察団報告も、「それによって安保理が戦争かどうかを決定する文書とはならない」と主張している。
仏国内の最新世論調査では開戦反対が76%で昨年とほぼ変わっていないが、対イラク攻撃が実施された場合、仏軍の参加に賛成する人が昨年9月の34%から19%へ急落し、慎重論が増大している。世論のこうした傾向は英国を含め、他のEU諸国に共通する。
EUが政界や世論に強まる開戦慎重論を今後の安保理討議へつなげ、米政府の強硬意見に対する対論を形づくれるかどうかは、安保理メンバーの英国と他の仏など3か国が、どこまで共同歩調をとれるかにもかかっている。
(1月13日22:04)