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国連のイラク査察が続く中、米ブッシュ政権は湾岸への増派を続け、世界の緊張が高まっている。しかし、米国がイラクと戦い、フセイン政権を倒す「大義」はあるのか。現大統領の父親ブッシュ元大統領の補佐官(国家安全保障問題担当)を務め、「ブッシュ・ファミリーの大番頭」とされるブレント・スコウクロフト氏(77)に聞いた。【ワシントンで國枝すみれ】
――あなたは昨年8月15日付の米紙に「サダム・フセインを攻撃するな」という論文を寄稿して話題を呼びました。
◆中東の最重要問題はパレスチナだ。これを無視して米国がイラク問題に集中しすぎると、パレスチナ問題の火に油をそそぐことになり、米国の「テロとの戦争」にも悪影響を及ぼす。それに気付いてもらいたかった。
論文が載ってから状況が変わった。(単独軍事行動に傾いていた)米政府は国連で対イラク決議の採択を求める方針に転換した。国連査察官はイラクに戻った。
――しかし、米軍は戦闘態勢を着々と築いています。
◆米国が湾岸地域に派兵し、戦争への準備を進めることは、国連査察を成功に導くために必要なのだ。フセイン大統領の過去の行動を見れば分かる。彼に「ゲームをしない方が身のためだ」というメッセージを伝え、事の深刻さを理解させることが大切なのだ。この手法は成功した。査察は妨害されず、イラク人科学者のインタビューも進みそうだ。今のところフセインは協力的だ。
――イラクは脅威だと思いますか?
◆国連査察官がイラクから追い出された98年段階で、イラクは明らかに脅威ではなかった。我々は湾岸戦争(91年)以降の10年間、イラクを封じ込めることに成功していた。査察官は今はイラクに戻った。イラクが核や化学兵器を持っているか、98年以降に新しい兵器を作ったかを調べるだろう。米国は査察官が1月27日に報告書を出すのを待って、次の行動をとるべきだ。
――軍事力を使用しても守るべき米国の国益とは何ですか?
◆中東における米国の国益は、イラクが隣国を侵略せず、石油の供給体制に脅威を与えず、テロを支援しない、ということだ。これらの国益が軍事力でしか守れないなら、米国は軍隊を使うことを考えるべきだ。ただ、今はそういう状況ではない。
【略歴】1925年3月、米ユタ州に生まれ、陸軍士官学校卒業。29年間の軍歴を経てホワイトハウス入り。フォード、ブッシュ両元大統領の政権下で国家安全保障担当の大統領補佐官を務め、91年の湾岸戦争(「砂漠の嵐」作戦)の立案・遂行に関与した。現在、国際問題のコンサルタント会社「スコウクロフト・グループ」を率いる。
[毎日新聞1月8日] ( 2003-01-08-21:50 )