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【ニューヨーク=河野博子】ニューヨーク・ハーレム選出の黒人の民主党下院議員が7日、米連邦議会に「徴兵制復活法案」を提出し、論議を呼んでいる。米国はベトナム戦争後の1973年に徴兵制を撤廃、志願兵制度が定着しており、軍関係者はほぼ一致して「現実的でない」と受け止めている。一方、一般兵士は人種的少数派が多いという米軍の実情を背景に、「軍事行動は国民の一部の層だけに犠牲を強いている、との問題提起を行った」と評価する見方も出ている。
18―26歳の米国市民から徴兵し、選ばれなかった人には2年間の社会奉仕を義務付ける法案は、チャールズ・ランゲル議員が提出し、下院議員5人が共同提案者として名を連ねた。同議員は「イラク攻撃には反対」との立場を示した上で、「攻撃が行われる場合、犠牲は米国民全体で共有されねばならない」「身内が戦場に送られる可能性があれば、政策決定者は一層慎重に考える」と提案理由を説明している。
これに対し、ラムズフェルド国防長官は早速、「そんな必要は全くない」と一蹴。ワシントンの保守穏健派のシンクタンク「CATO研究所」のダグラス・バンドー上級研究員も「専門化、ハイテク化した現代の兵士は質が問われる。徴兵制は兵士の質を下げ、訓練を難しくするだけだ」と法案の非現実性を強調する。
退役軍人団体も、「軍隊経験がなく、身内に軍関係者がいるわけでもない政治家が、兵士の犠牲を軽く考えがちなのは事実。しかし、志願兵制度を変える理由にはならない」(湾岸戦争資料センターのスティーブ・ロビンソン事務局長)と冷ややかに見る。
ニューヨーク・タイムズスクエアの真ん中にある「軍募集事務所」。海軍への応募手続きに来た18歳の黒人青年に徴兵制復活法案について聞くと、「義務を重荷と感じる人が兵士になっても意味がない」と言い切った。
ただ、国防総省の調査によると、米軍の一般兵士に黒人が占める割合は22%と、一般社会の実働人口中の12%に比べ高い比率を占めており、出身家庭も「主に中・低所得者層」が占めている現実がある。
メリーランド大学のロン・ウォルターズ教授(64)(政治学)は「現在、徴兵制を復活させる根拠はない」としながらも、「特に黒人は、何かあれば犠牲になるのは自分たち、という思いが強い。法案提出は戦争のヒューマン・コストを忘れてはいけない、と訴える政治声明の役割は果たしている」と評価する。
(1月8日20:29)
★ この話題は,NHK衛星1で放送している「ABCニュース」で一昨日と今日の2回取り上げられていました。
「読売新聞」の記事内容は、ほぼ「ABCニュース」の内容に沿ったものです。