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【モスクワ23日=古本朗】ロシアのプーチン政権が、人事をめぐって公然と反抗する有力将軍たちに振り回されている。プーチン大統領は、「強権」の表看板とは裏腹に、将軍たちを力で抑え込もうという気配がなく、軍や情報機関に依存する政権の体質をうかがわせている。
プーチン大統領は23日までに、チェチェン戦線を管轄する北カフカス軍管区のゲンナジー・トロシェフ司令官(大将)を、命令不服従を理由に更迭する大統領令を布告した。先に、大統領側近のイワノフ国防相からシベリア軍管区司令官への転任を命じられた大将は、報道陣に「(人事異動を)決めるのは国防相の勝手だが、私は従わない」と言い放ち、拒絶したのだ。
一方、ゲオルギー・シパク空挺(くうてい)軍司令官(大将)は16日、わざわざ記者会見を開いて、空挺軍のチェチェンでの功績を自賛した。同大将は来年退役するよう求められており、露紙「独立新聞」は、報道機関への自己PRには、退役圧力に抵抗するための世論工作の狙いがある、との見方を示した。
今夏には、海軍黒海艦隊司令官のウラジーミル・コモエドフ海軍大将が、健康上の理由による解任命令を不服として訴訟を起こした。プーチン氏が大統領代行だった2000年3月には、第58軍司令官、ウラジーミル・シャマノフ中将(現・ウリヤノフスク州知事)が内務省治安部隊への転任を拒否したこともある。
命令服従を鉄則とする軍の最上層部で、“将軍たちの反乱”が頻発する背景について、政治学者アンドレイ・リャボフ氏は、プーチン大統領が、チェチェン戦争遂行の最高責任者として築いた名声をよりどころに、権力基盤を固めていった経緯と無関係でないと指摘。「軍高官たちは戦争を闘い、政権を支えているのは自分たちだ、との自負を強め、奔放な振る舞いを始めた」と分析する。
旧ソ連は、将校層に対する厳格な監視、統制や粛清で、政権に絶対服従する軍を作り上げた。だが、今日のプーチン政権は、トロシェフ大将の更迭劇に際しても、恥をかかされた当の国防相が、「近く、大将には、(その功績に)ふさわしい地位を提供することになる」と発表し、懐柔に努めるなど、及び腰だ。
独立新聞は、1825年12月、近衛部隊が皇帝に反旗を翻した「デカブリストの乱」を引き合いに出し、「同様の事態の1―2歩手前まで迫っている」と、軍上層部の“不穏”な空気を誇張気味に報じた。
(12月23日23:15)