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(回答先: Re:では、あっしらさんに質問。 投稿者 Silent Tears 日時 2002 年 12 月 21 日 18:39:11)
敵か味方かという識別は、イスラムに限らず、米国に対してもあまり意味がないと思います。
まず、それぞれの文明圏や国家が日本をどのような存在として位置づけているかが問題です。
現在の近代世界システムでヘゲモニーを握っているのは米英及び西欧諸国です。
彼らが日本に対して共通的に持っている考えは、実質世界一の経済大国になった日本が政治・経済のヘゲモニーを持つようにならないことが第一で、次には、彼らの政策に従って日本が行動することです。日本が保有している世界最大の余剰通貨を活用したいとも考えています。
中国・韓国・北朝鮮は、戦前及び戦中そして戦後の日本の行動から疑心暗鬼を持ち続けていますが、日本が持つ経済力(通貨的富と技術力そして購買力)を利用したいと願っています。彼らに共通している第一の構えは、日本と戦前のような関係性にならないようにというものです。
アジアを除くイスラム諸国は、ロシア・欧米と戦ったアジアの国として畏敬の念も持っているし、日本が持てる経済力を基礎に欧米と一線を画した存在感を世界に示して欲しいと思っています。(マレーシアやインドネシアも過去の経緯を乗り越えてそのように思っていると言えます)
ロシアは、中国・韓国・北朝鮮とイスラム諸国の中間的な思いを持っていると思われます。領土問題があることは承知しながらも、日本の経済力をロシアに振り向けて欲しいと思っています。
こうして見ていけば、どのような勢力と摩擦や軋轢が起きるかということは、偏に日本がめざす方向次第だということがわかります。
これまでは軍事力の直接行使を避けながら対米従属での外交にほぼ終始してきたわけですが、軍事的共同行動などそれをさらに強めた方向をめざせば、イスラム諸国との関係は対立的なものになります。
価値観を抜きにして、米英が中東産油地域を“制圧”できると判断すれば、米英との軍事的共同行動が“国益”に適うことになります。
しかし、米英が中東でうまくいかないと見通せば、米英との軍事的共同行動は“国益”を損なうものになります。
自給率50%の米国は、中東原油依存率が10%ほどで、それもロシア産に置き換えられるように動いています。
英国は、北海油田があり、石油輸出国です。
ロシアとの関係正常化も果たしていない段階で、米英と共同で「対イスラム戦争」にのめり込んでいけば、保険なしで危地に赴くのと同じです。
米欧に対して明確な自己主張ができないのであれば、米国が押しつけた憲法を盾にのらりくらりと共同軍事行動を避けるのが賢明でしょう。
万が一、米英が中東原油を“制圧”したとしても、日本に買ってもらわない限り思うように捌けないのですから、それほど心配はありません。
ほとんどの原油をイスラム諸国に依存している日本が、代替供給国の手当もないままイスラム諸国への敵対行動に入っていくのは愚かの極みです。
(米国でさえ、ロシア原油輸入という保険をかけています)