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フォーリン・アフェアーズ日本語版:サダム追放策と中東社会の民主化
投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 18 日 22:18:13:


★ 世界経済支配層の走狗が日本やドイツに対して成功したのと同じようにイスラム世界でも“民主化”ができると考えている一例なので紹介させていただく。アラブの国家支配者は甘く見ることもできるが...

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サダム追放策と中東社会の民主化
The Iraq Debate in Congress

スピーカー:トム・ラントス/米下院議員

司会:ダグラス・E・ショーエン/ペン・ショーエン・バーランド・アソシエーツ

サダム後のイラクについて十分な検討をしていないことについては、ブッシュ政権は批判されてしかるべきだ。サダム政権の打倒を、アラブ世界の民主化の序章としなければ意味がない。そうしない限り、われわれは歴史的な機会を失ってしまう。

アラブ世界がアメリカのサダム・フセイン追放策に一致団結して反対しているというのは、おとぎ話にすぎない。イラクの近隣諸国政府は、国内の反発を恐れて公にはアメリカのイラク政策に反対しているが、プライベートな場では、アメリカのイラク政策を強く支持している。


<目次>
・サダム後のイラクをどうするのか 公開中
・イラク侵攻策をめぐる議会の立場 公開中
・サダム追放しか道はない
・先制攻撃ドクトリンは正当化できるか
・誰がイラクの国家再建コストを担うのか
・中東紛争とイラク侵攻策


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以下は二〇〇二年九月二十四日にニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラムの議事録からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

サダム後のイラクをどうするのか

ダグラス・E・ショーエン イラク問題に関しては、侵攻のタイミングをどうするかをはじめ、さまざまな議論がなされています。今日は、下院国際問題委員会の民主党指導者であるトム・ラントス議員(民主党、カリフォルニア州選出)をお迎えし、十分に議論を尽くしてもらいます。まず、イラク問題について全般的なコメントをお願いします。

トム・ラントス 今回の危機を考えるには、一九八一年にさかのぼる必要がある。この年、イスラエル軍はイラクのオシラクにある原子炉を攻撃して、サダム・フセインの核開発能力を破壊した。当時、米議会でこのイスラエルの行動をたたえたのが私一人だっただけに、このケースはよく覚えている。もしイスラエルが空爆による原子炉の破壊という行動に出ていなければ、われわれは九〇年から九一年にかけての湾岸戦争で、核武装したイラクと対峙していたはずだ。その場合、われわれが戦争という行動に出たかどうかはわからない。だがもし、湾岸戦争を戦っていなければ、サダム・フセインはイラク、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の石油資源を手に入れていただろうし、その場合には、石油の供給・管理体制はまったく現在とは違うものになっていたはずだ。

 九一年一月の時点で、ブッシュ政権の対イラク軍事作戦(砂漠の盾、砂漠の嵐作戦)を支持した民主党議員は私も含めてわずか三人だった。さらに私は、軍事作戦が終結に向かいつつあった時点で、サダムを政権の座から追放する作戦を実行しない(つまり、イラクには侵攻しない)ことを決定したブッシュ大統領を批判した民主党の数少ない議員の一人でもあった。

 このように、イラクへの軍事的対抗策をとることへの私の支持は揺るぎないものだ。たしかに、同僚議員のなかには、イラク侵攻策に否定的なものもいる。だが、私にいわせれば、彼らの言い分は間違っている。そこにいるのは、数千億ドルと試算されるコストを民衆に強制しながら、それでも核を開発しようとしている悪漢なのだ。イラクは化学兵器、生物兵器の開発プログラムを実施しているし、核兵器やミサイルの開発計画も継続している。毒ガス兵器についても、サダム・フセインが現実にそれを使用する意図を持っていることは、すでに八〇年代のイラン・イラク戦争で実証されている。

 イラクとの戦争をめぐっては、賛否両論入り乱れているが、どこか抽象論のように考えられている部分があるのではないか。だが、悪質な意図を持つ人物がいまそこにいることを忘れてはならない。今回のイラク危機は、この数カ月、あるいは数年間に起きたものではない。現在の危機は、この二十年にわたる問題の集積である。

 たしかに、この問題のプレーヤーが誰で、その目的が何で、現実がどのような状態にあるかを把握するのは難しいかもしれないし、私も現在のブッシュ政権のやり方を全面的に支持しているわけではない。第一に、現政権がとっている単独行動主義の対イラク政策は過大な重荷を伴う。アメリカが単独行動主義をとらざるを得ないのは、一つには、世界の多くの地域でわれわれにとって非友好的な環境しか存在しないからだが、こうした状況は回避できたはずだし、回避すべきだった。

 また、サダム後のイラクをどうするかについて十分な検討をしていないことについても、現政権は批判されてしかるべきだろう。サダム政権の打倒を、アラブ世界の民主化の序章としなければ意味がない。理想論を語っているのではない。そうしない限り、われわれは歴史的な機会を失ってしまうことになる。この数十年来、われわれは、人権が擁護され、政治的多元主義が成立し、市場経済が機能するような民主的空間を拡大することに努力してきたことを思い起こすべきだ。

 だが、歴代の民主党、共和党政権は、アラブ世界には開放的で民主的なシステムはなじまない、よって、手をつけられないと考えてきた。私にいわせれば、これは馬鹿げた考えだ。われわれが接触を保っているのがアラブ世界のなかでも最も洗練され、文明化された人々であることを忘れてはいけない。 サダム・フセイン政権が近い将来に倒れれば、こうした人々が表舞台に登場し、アラブ世界全体を変貌させる歴史的な機会をわれわれは手にすることになる。もちろん、それが一夜にして実現されるわけではなく、数十年という時間を必要とするだろう。

 考えてみてほしい。一九三九年、あるいは四五年の時点で、日本とドイツが、人権を尊重する民主的な市場経済型の社会に変貌することに成功すると考えた人が一体何人いただろうか。今後数年間は、世界、そしてアラブ世界にとって非常に興味深い歴史的な節目となると考えられる。

 長期的には状況を楽観してもよいと私は感じている。だからといって、今後数カ月、あるいは一年にわたってわれわれが直面すると思われる困難な選択肢、つまり、この地域の腐敗した政府をいかに正していくかという問題から目をそらすのは大きな間違いだろう。例えばサウジアラビアだ。人口の半分の人々の権利が否定されている社会など二十一世紀にはなじまないし、それに見て見ぬふりを決め込むとすれば、われわれも同罪である。


イラク侵攻策をめぐる議会の立場:http://www.foreignaffairsj.co.jp/intro/0211Lantos.html#1

*全文はフォーリン・アフェアーズ日本語版でご覧になれます       

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