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【ドーハ井上卓弥】「アルカイダ」を率いるウサマ・ビンラディン氏らの映像や声明を独占放送して注目を浴びたカタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」が、米国のイラク攻撃を前にアラブ社会から「反イスラム」との批判を受けている。アラブ側の主張を報じる一方、イブラヒム・ヘラル報道局長(32)が「米メディア以上に米国の主張を伝えている」と語る報道姿勢が、反米意識の強いイスラム教徒には「反イスラム的」と映っているようだ。
同放送は今月7日、特別報道態勢を組み、イラク問題に関するブッシュ大統領の演説を完全生中継した。96年に私費を投じて同テレビを創設したハマド・カタール首長が、イラク攻撃の出撃拠点となる空軍基地を米国に提供したことも「米国寄り」とのイメージを強めた。
反体制派を出演させ、アラブに多い独裁体制を批判する報道手法も反発を招いた。こうした報道姿勢に対し、サウジアラビアとバーレーンは「反イスラム」を理由に、同放送のスタッフの入国を禁止した。イラク取材の前線基地のヨルダンやクウェートでは事務所閉鎖を余儀なくされている。また、バグダッド常駐スタッフも現地人を含む3人に制限されているという。
イブラヒム・ヘラル局長は「アラブ・メディアは真実を伝えてこなかった。自由な報道を根付かせるのが我々の責務」と強調する一方、「放送内容を確認もせずに反米と決め付けられるケースがまだ多い」と苦悩をにじませた。
同テレビは編集方針を明示するため、来年上半期をめどに一部の番組で英語放送導入を計画。英語サイト開設も予定する。だが、新たな試みが「反イスラム」批判を強める可能性も否定できない。米政府が国内で同テレビの映像使用を禁止したため、放映権料の目減りを英語圏の衛星放送視聴者開拓で補いたい事情もうかがえる。「アラブ初の自由なメディア」を主張する同放送が、確かな足場を築くまでの道のりはまだ険しそうだ。
[毎日新聞12月16日] ( 2002-12-16-20:16 )