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【バグダッド小倉孝保】国連のイラクに対する大量破壊兵器査察再開を前にイラクで22日、キリスト教徒による「平和の祈り」のミサが一斉に行われた。この日はイスラム教集団礼拝の金曜日にも当たり、イラク全土で平和を求めるムードがあふれた。
バグダッド中心地にあるカトリック系のサイド・ナジャット教会でも、日没後の午後5時からミサが行われた。出席したイラク人キリスト教徒約200人が、1人ずつ「神様、私たちをお守りください。私たちが誤っているなら、お許しください」と述べた後、賛美歌を合唱。ひざまずいて手を合わせる老女の姿が目立った。
イラクには、約100万人のキリスト教徒がいるといわれる。国民の多くが、米国が将来、イラクを攻撃すると感じており、キリスト教各派が信者の精神を安定させ、平和を願おうと、一斉礼拝を計画した。キリスト教徒は21日午後11時から22日午後2時まで、平和のための断食も行った。
礼拝に来た主婦、サナアさん(45)「攻撃がないことと、イラクへの制裁が解除されることを祈った。米国が攻めてきても、私たちは戦い、神の許しでこの国を守ることができるでしょう」と静かに話した。
一方、バグダット市内のモスク(イスラム礼拝所)「イマーム・アダム」では、イスラム法学者が演説の中で「イスラム教誕生のころ、教徒は約300人で、異教徒約3000人と戦い、勝利した。我々は今、戦いに直面しているが、団結することで勝利の道が開ける」と語りかけた。
3人の息子を持つ家具店主、サッドゥーンさん(40)は「戦争をするもしないも米国が決めること。我々は神に祈るだけだ。世界の人には、イラク人が平和を願っていることを知って欲しい」と訴えた。
イスラム世界は今、聖なる月ラマダン(断食月)でもあり、イラク各地のモスクには連日大勢の人が訪れている。地元ジャーナリストは「全世界が米国の対イラク決議に賛成したことで、イラク人は孤立感を深めた。圧倒的に強い米国を前に、頼るものは神しかないという気になりつつある」と説明した。
[毎日新聞11月23日] ( 2002-11-23-22:54 )