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【プラハ森忠彦】当地で開かれていた北大西洋条約機構(NATO)は22日、NATOロシア理事会や欧州大西洋協力評議会(EAPC)などの会議を終えて閉幕する。2日間にわたる会議でテロに対応した新生NATOの骨格が固まったが、米国への依存体質は一層顕著になった。巨大化するNATOは中核国と周辺国との間で空洞化を起こす危険性もある。
22日朝の外相級のNATOロシア理事会ではNATO側が旧共産圏7カ国の新規加盟を報告。ロシア側も異議は唱えなかった。またNATOが2国間関係の軍事協力「パートナーシップ」を結ぶNATO加盟外27カ国の首脳との会談を開き、NATO側は前日に採択した「プラハ宣言」に基づいた各国への協力を呼びかけた。
NATOは加盟国数が増える一方で、今会議では米国主導での戦略が一層顕著になった。防衛力や軍事概念の見直しによって中小国の参加も可能になったが、軍事的に圧倒的な米国主導が薄れたとの見方は少ない。
また公式議題としなかったイラク問題も米国の強い要請で声明を発表した。ロバートソン事務総長は「原案から採択まで丸1日でできた。国連決議と違ってNATOは迅速だ」と自慢した。だが一方で、イラク問題を巡って米国と欧州、とりわけドイツとの意見の相違は消えなかった。ドイツは米国のイラク攻撃に対して基地や領空の使用は黙認する方向だが、フィッシャー外相は「ドイツ軍が参戦することはない」と繰り返して明言した。
新規加盟国がこぞって米国との同盟関係を求めてNATO入りを希望している半面、欧州の大国側には米国主導色が強まってゆくNATOの基本構造に対する警戒がふくらんでいる。
一方で、米国やカナダなどにはNATOの欧州外での作戦などには積極的な国だけの「暫定同盟」を組織して行動する案も高まっている。巨大化するNATOの中で米国に近い諸国と、一線を画す国々との差が広がれば、組織そのもの結束が薄れ、形骸化する危険性がある。
[毎日新聞11月22日] ( 2002-11-22-23:38 )