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【イスラマバード21日=新居益】パキスタン国会下院は21日、ムシャラフ大統領(陸軍参謀長兼務)派の政党「パキスタン・イスラム教徒連盟カイディアザム派」の幹事長ミール・ザファルラ・カーン・ジャマリ氏(58)を首相に選出した。ムシャラフ大統領は20日の演説で、一両日中に首相に行政権限を移譲するとしており、パキスタン軍政はクーデターから3年1か月でひとまず終わり、「民政移管」が実現する。
ジャマリ首相は、外交では米国主導の対テロ戦争を支援、内政では経済再生を最優先する「ムシャラフ路線」を踏襲する。
形式的には「民政移管」だが、軍人大統領が最高実力者の地位を維持し続ける状態は変わらず、21日に行われた国会下院(定数342議席)の首相選でもそれは明白だった。
大統領派の「パキスタン・イスラム教徒連盟カイディアザム派」は118議席)で、大統領派は過半数に遠く及ばないが、少数政党の取り込みに成功して172票を獲得、「パキスタン人民党」の70票、「統一行動会議」の86票に完勝した。
多数派工作の立役者は、大統領派最大実力者のチョードリ・シュジャート・フセイン議員団長と、大統領首席秘書官のタリク・アジズ陸軍参謀次長。2人は大学の同級生で、フセイン氏が内相時代、アジズ氏は内務省幹部として仕えており、何よりムシャラフ氏の腹心として気脈を通じ、野党切り崩しの荒技を担った。
野党側には「反大統領連立政権」のチャンスもあったが、大統領側はまず、今月8日の予定だった国会召集を延期。この直後、フセイン氏が人民党議員10人を与党側に寝返らせた。さらに17議席を持つ「モハジール民族運動」にも便宜を図って支持を取り付けた。
ムシャラフ大統領は、今年4月の国民投票で任期を2007年まで延長、8月の憲法改正では首相解任を伴う議会解散権を自らに付与した。さらに、軍が主導する大統領諮問機関「国家安全保障会議」を設置しており、「軍が民政を監視するシステム」(政治評論家)を完備させた。新政権発足後も、首相を上回る強力な権限を持ち、何より米政府の支持は、大きな後ろ盾だ。
ただ、人民党と統一会議が強力野党を形成することは、ジャマリ政権の将来に不安を投げかけている。両野党は、大統領権限を拡大する憲法改正の正当性や、米国主導の「反テロ戦争」をめぐり、国会で攻勢を強めると見られる。
(11月21日19:05)