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埼玉県桶川市で1999年、女子大生猪野(いの)詩織さん(当時21歳)が刺殺された事件で、詩織さんの両親が「県警が適切に捜査していれば、生命の危険は回避された」として、国家賠償法に基づいて県に約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、さいたま地裁であった。
広田民生裁判長は県警に殺人事件の予見可能性はなく、名誉棄損事件の捜査怠慢と詩織さん殺害との間に、因果関係はないとしたが、「捜査怠慢により、期待と信頼を侵害したことによる慰謝料が認められる」として、県に両親それぞれに275万円の支払いを命じた。
警察庁によると、警察の不適切な対応によって殺人事件を防げなかったとして提訴された国家賠償訴訟は、桶川市の事件までに例がないという。
事件では、元交際相手らから執拗(しつよう)な嫌がらせを受けていた詩織さんら家族が、被疑者不詳のまま、上尾署に名誉棄損罪で刑事告訴するなど再三、被害を訴えていた。しかし、同署は、名誉棄損事件の捜査をほとんど行わず、同署刑事2課長らが詩織さんの告訴調書を「告訴」から「届出」に書き換えていたことなどの違法行為が発覚した。
当時の県警本部長は2000年4月、「名誉棄損事件の捜査を全うしていれば、このような結果(詩織さん殺害)を避けられた可能性はある」と、詩織さんの両親に謝罪した。
訴訟では、元交際相手らからの嫌がらせに対する詩織さんや両親の訴えを受けた県警に、詩織さん殺害を防止する注意義務(作為義務)があったかどうか。その前提として、詩織さんが殺害される可能性が客観的に存在し、県警がその危険性を予見できたかどうかが、主な争点となっていた。
両親は「元交際相手とその仲間は、数々の加害行為にもかかわらず一向に警察の捜査が及ばないことに増長した」「警察官としての様々な権限を適時適切に行使すれば、詩織の身体、生命への危険性は回避されたが、あえて行わなかった」とし、同署の捜査放置や違法行為が、詩織さん殺害に結びついたと主張した。
一方、県警など被告側は「詩織さんが殺害される危険性をうかがわせる状況は認められず、警察に危険防止の注意義務(作為義務)はなかった」と、請求の棄却を求めていた。
◆桶川女子大生刺殺事件=1999年10月、埼玉県のJR桶川駅前で上尾市の女子大生猪野詩織さん(当時21歳)が刺殺された。県警は同年12月、詩織さんの元交際相手の兄で、主犯格とされる小松武史被告(36)ら4人を殺人容疑で逮捕。その後、詩織さんに対する名誉棄損容疑で指名手配された元交際相手は2000年1月27日、北海道・屈斜路湖で水死体で見つかり、自殺と断定された。小松被告は殺人罪などで公判中。殺害の実行役や見張り役、運転手役の男3人は懲役18―15年の判決が確定している。(読売新聞)
[2月26日18時41分更新]