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在日米軍:外務省研修の実態は接待 沖縄・少女暴行事件契機の
95年9月に起きた米兵3人による沖縄・小学生女児暴行事件をきっかけに、外務省が在日米軍幹部を対象に始めた「研修」の大半が、事実上の観光旅行になっていることが、毎日新聞の情報公開請求で開示された内部文書でわかった。関係者からは「実態は研修ではなく接待であり、意味がない」との指摘も出ている。 【大治朋子】
研修は、事故の再発防止対策の一環として、「シンポジウム」などの名称で外務省北米局日米地位協定室が95年12月から始めた。以後年1回、3泊4日の日程で、在日米軍の将校ら幹部20〜25人を招いている。今年で7回目で、参加者1人当たり約13万5000円、総額約270万円の宿泊費や食費を日本側が毎年負担している。
内部文書によると、プログラムには3回、計4時間半の安全保障や経済に関する講演が組み込まれているが、残りは日光や鎌倉への観光旅行、歌舞伎鑑賞などで、国技館でビールを飲みながらの相撲観戦もあった。自由時間には「夕食代」として1人現金5000円を配ったり、総額30万円の屋形船ディナークルージングもある。こうした内容に外務省職員からも批判の声があがっている。
毎日新聞の情報公開請求に外務省は、参加者の氏名、所属、階級を不開示とした。研修後には参加者へアンケートをしているが、感想欄には簡単な謝意が記載されているだけで、研修のきっかけとなった暴行事件について「コメントはなかった」(日米地位協定室)。
沖縄の米軍人による事件・事故防止策については外務省と米軍が共同で新兵対象の教育プログラムを行い、米軍側は基地周辺の自主パトロールを実施。那覇防衛施設局と県、在沖米軍で話し合う「3者連絡協議会」も00年にワーキング・チームを設置したが、効果はあがっていない。防衛施設庁によると、暴行事件の後、米軍関係者らによる事件・事故はむしろ増える傾向にあり、事件翌年の96年からの6年間で約3割増加している。
沖縄の米軍人による事件・事故防止策については外務省と米軍が共同で新兵を対象に教育プログラムを実施するなどしてきた。沖縄県警の警察官が講師として日本の交通法規を説明。米軍側も基地周辺の自主パトロールを実施したり、事件直後には基地外への夜間外出を禁じる措置を講じた。
沖縄の米軍基地問題について那覇防衛施設局と県、在沖米軍で話し合う「3者連絡協議会」は00年にワーキング・チームを設置して事件・事故防止策を実施しているが、あまり効果は上がっていない。
在日米軍研修(97年)の主な内容
(1)午前 午後 夜
(2)1日目 政治・経済講習(90分) 生け花見学 屋形船ディナークルーズ
(3)2日目 安全保障講習(90分)/文化・歴史講習(同) 松下電器シアター見学 自由行動/1人5000円支給
(4)3日目 築地魚市場見学後、バスで日光へ 日光観光 自由行動/温泉宿泊
(5)4日目 日光からバスで東京へ 昼食会後解散
外務省日米地位協定室の話 限られた一部幹部を対象にしており、犯罪件数に大きく反映するものではないが、日本の文化や考え方に接し、良き隣人関係を醸成する有意義なプログラムだ。
軍事問題に詳しい前田哲男・東京国際大教授(安全保障論)の話 研修どころか接待も同然の内容で、再発防止に役立っているとは思えない。少女への暴行という許し難い事件から、こんな取り組みしかできない外務省には、怒りさえ覚える。おざなりなばらまき行政そのもので、目的を明確にした実のある内容に見直すべきだ。
研修の講師を務めたこともある元外務省安全保障政策室長の森本敏・拓殖大学教授(安全保障)の話 横田や沖縄の基地内で暮らし、日本の文化、自然に触れる機会もほとんどなく帰国する米兵は多い。日本の安全保障に協力する米軍が、日本の良さを知り、親しみを覚えるためのプログラムとして価値があり、相互理解にもつながる。
[毎日新聞12月22日] ( 2002-12-22-03:01 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20021222k0000m040092000c.html