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東海地震予兆段階で国が情報
「平時の生活」、「旅行自粛を」
切迫度に応じ行動目安
東海地震の強化地域拡大に伴い対策の抜本的な見直しを進める国は、気象庁の観測データが異常を示した際の情報提供の在り方を見直し、地震発生の切迫の度合いを「旅行の自粛」など一定の目安で示して国民に呼び掛ける検討を始めた。現在はデータの異常を公表する「観測情報」を提供しているが、どの程度の予兆を示すのか一般には分かりにくいため。予兆段階でのパニックを避ける狙いもあり、自治体が初動態勢を立ち上げるタイミングにも影響しそうだ。
東海地震の予知は、駿河湾のプレート(岩板)がずれ始める「プレスリップ現象」が検知された場合に可能とされる。気象庁は地殻変動の観測データに異常が生じた際、事前情報の第一報となる観測情報を発表する。
データの異常が地震に直結するかは不確定要素が多く、気象庁は「あくまでも予報的な情報」と位置づけているが、報道機関の速報などで国民が緊急事態と受け止め、パニックや経済混乱を招く恐れがある。中央防災会議が今年十月、強化地域の九都県市に行った調査でもデータが示す防災上の「意味づけ」を求める声が相次いだ。
国はこれらを踏まえ、予兆段階の情報提供の在り方を検討。具体策は年度内にまとめるが、観測情報が発表されてもデータの数値が低い場合は「平時の生活の継続」、その後のデータ推移で東海地震の可能性が高まった場合は「旅行の自粛」など、状況に応じた行動の目安を示す意向だ。国が情報提供を見直すのは、気象庁の観測技術の向上で発生の可能性や切迫度が分析しやすくなったほか、名古屋市の強化地域指定による大都市の帰宅困難者対策など早めの対応が必要になってきたことを受けた措置で、状況説明が欠かせないと判断した。
対応は地域で判断
<溝上恵・地震防災対策強化地域判定会長(東大名誉教授)の話> 観測情報をごく初期の段階で出せば確度は落ちるが、それでも早く出すことは意味がある。ただ地域で事情は違い、一律に「外出を控えよう」などと具体的な行動を呼びかけるのは難しい。国ができるのはメッセージをできるだけ早く、分かりやすく送ること。地域がどう受け止め対応するかは個々に考えなくてはならない。
<観測情報> 地殻変動を計測するひずみ計のデータに異常が生じ、その異常が東海地震の前触れなのかすぐに判断できない場合に発表される。内容は前兆の可能性がある小さな地震の規模や回数、岩板の伸縮の数値的データなど。異常数値が一定レベルを超えると警戒宣言を出すか判断する国の判定会を招集。異常が前触れでないと分かった場合は「解説情報」が出され当面の心配はなくなる。
数段階での提示検討
<解説>
現行の大規模地震対策特別措置法(大震法)は、「警戒宣言」発表後の対策を前提としているが、実際に地震に備えた対策をいち早く立ち上げるには、宣言につながる判定会招集よりも前段階の「観測情報」をどう見極めるかがクローズアップされるようになった。
観測情報と解説情報は県や市町村の要望に応じ気象庁が一九九八年十一月に導入。これまで東海地震の観測情報が出されたことはないが、解説情報は三回出されている。
積極的な地震情報の開示は時代の要請と言え、鴻池祥肇防災担当大臣は本紙の取材に対し「予兆段階での正確な情報提供は自治体にとっても必要」との考えを示した。
ただ、情報開示は同時にジレンマを抱える。事前情報が風評パニックなどの混乱を招く恐れは、見直し後も依然、否定できないからだ。
政府は観測情報のデータをあらかじめランク分けし、切迫の度合いを数段階のレベルで国民に示す方法を探っているが、強化地域内でも震源からの距離で予測される被害が異なるほか、都市部や農村部などの事情で初動のタイミングも違い、気象庁側はレベルの固定化は難しいとしている。
さらに観測データが示す緊急性や切迫度をどのような言い回しで伝えるかもポイントになるだけに、自治体の防災担当者も見直しを注視している。
(社会部・青柳知敏)
北陸中日新聞
www.hokuriku.chunichi.co.jp/00/sya/20021125/mng_____sya_____007.shtml