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抗がん剤「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)で多発した副作用の間質性肺炎について、販売元のアストラゼネカ社(本社・大阪市)が、外部の専門家から肺への副作用を示唆する動物実験結果を連絡された後、安全性を確認する追加試験をしないまま同剤を発売していたことが分かった。発売前の臨床試験でも間質性肺炎は発生していたのに、ア社が追試を始めたのは多数の副作用死者が出た後だった。
実験は、東京女子医大の永井厚志教授らが行った。別の薬剤で肺を傷つけて「肺線維症」という状態にしたマウスにイレッサを投与し、イレッサが肺の状態を悪化させるとの結果を得た。イレッサの承認と発売は02年7月だが、教授とア社によると、ア社は01年10月までに教授から結果を連絡され、02年5月には詳しいデータも入手した。
臨床試験の患者にも間質性肺炎は発生。うち1人の担当医は01年2月までに、ア社に「イレッサで起きた疑いが強い」と報告した。ア社は国の承認審査でも、「副作用と疑われる間質性肺炎が国内外で7人に出ており、うち2人が死亡した」と指摘されていた。
それでもア社は追試の実施を検討しないまま、「イレッサが間質性肺炎を起こす可能性は低い」と判断し、発売した。ア社は「間質性肺炎の患者は7人で非常に少なかった。マウスに起こした肺線維症は人間の肺線維症と異なり、実験結果は人間に適用できないと考えた」と説明する。
ア社は発売後に多数の死者が発生したことを受け判断を変え、今年から追試を始めたという。
医薬品専門誌「正しい治療と薬の情報」編集長で、都立北療育医療センター院長の別府宏圀(ひろくに)さんは「副作用として非常に疑わしいのに確認の追試をしなかったのは、重大な結果が出たら困るので実施したくなかったからではないか。動物実験は安全性確認に必須の作業で、その結果が人間にあてはまるかどうかを言い出したらきりがない」と批判している。 【鯨岡秀紀、高木昭午】
[毎日新聞3月10日] ( 2003-03-10-15:01 )