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せっかく手に入れたマイホームで、家族に健康被害が出たのでは、生活設計が暗転してしまう。これは深刻な問題だ。
住宅建材が発散する化学物質が原因で発症するシックハウス症候群の初の法規制として、建築基準法が改正され、その施行令が昨年12月に閣議決定された。改正建築基準法は7月に施行される。
シックハウス症候群は、かゆみやめまい、頭痛、皮膚病など症状がさまざまだ。どの物質にどう影響を受けるか個人差も大きい。
発症の詳しいメカニズムはまだ解明されていないが、原因は建材に含まれる揮発性の化学物質だという。そうした症状を訴える人は95年ごろから急増している。10人に1人が発症するとの指摘もある。社会問題と言っていい。
厚生労働省は、室内の空気を汚染する化学物質に関し、人体に影響を及ぼす濃度の上限値の指針を設定している。これまでにホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロルピリホスなど13種の指針を決めた。
これを受けて化学物質の使用を規制するため建築基準法が改正されたが、規制を受けるのは合板や壁紙などに含まれるホルムアルデヒドとシロアリ駆除剤のクロルピリホスだけだ。
2種のうちクロルピリホスは全面使用禁止となるが、ホルムアルデヒドは、それを発散する建材の面積制限をする措置にとどまる。ほかに、一定の条件を満たす機械換気設備を基本的に設置するよう義務付けるだけだ。
人体に影響を与える化学物質が13種もあるというのに、2種の規制だけで果たして実際に効果があるのかどうか。
国土交通省は、トルエン、キシレンなどは建材のほか、家具や家庭用品などにも使用され、発散量と室内濃度の関係が明らかになっていないため、規制段階の具体的な基準の設定が困難だという。
法規制の面で技術的に難しい面があることはわかるが、何とも心もとない対応である。今回、規制を見送った化学物質がより多く利用される恐れはないのか。こんな危惧(きぐ)も抱かざるを得ない。
健康に配慮した住宅建設に力を入れるメーカーも増えている。問題は、化学物質を発散する建材を使わず天然建材を使用すると、建築費が高くつくことだ。
住宅品質確保促進法では化学物質の表示を義務付けているが、その有害性が十分に消費者に伝わっているかも疑問が残る。
最近は「シックスクール」や「シックビル」という言葉も使われる。排ガスや化粧品など微量の化学物質に反応する化学物質過敏症の患者も増えている。
まずはシックハウス症候群のメカニズムの解明が急務だが、公共施設での有害化学物質の濃度測定や相談窓口の充実など、行政が率先して取り組むべき課題も多い。
今回の建築基準法改正は、問題解決に向けたささやかな一歩である。消費者の立場にたったより強い規制が必要だ。やるべきことはまだまだたくさんある。