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米国で200人以上の死者が出ている「西ナイル熱」の病原体ウイルスが今夏にも日本に“上陸”する恐れがあるとして、厚生労働省は4日までに全国の都道府県に対し、感染源となるカラスの死亡数を調査・報告するよう指示した。米国では西ナイル熱が人の間で流行する前に、感染したカラスの異常死が相次いで確認されており、これを受けての措置。カラスを監視することでウイルスの上陸地点の早期発見を目指す異例の輸入感染症対策で、交番に寄せられた情報も活用しようと、警察などにも協力を求めている。
西ナイル熱は、悪化すると脳炎を発症し、最悪の場合、死亡する危険な病気。病原体の「西ナイルウイルス」は、カラスなどの鳥類の体内で増殖し、蚊を媒介して人間に感染する。対症療法しか治療法はない。
1999年に初めて患者が確認された米国では、昨年、爆発的に被害が拡大。99年から2001年までの3年間の患者が計149人だったのに対し、2002年は1年間だけで3800人以上に上り、240人を超える患者が死亡している。
また、西ナイル熱が流行した地域では、数か月前に鳥類の異常死が報告されるケースが相次いでいた。全米で昨年、同ウイルス感染が疑われる計1万4000羽以上の鳥の死亡例が報告されており、その半数以上をカラスが占めていた。
厚労省では、「米国でここまで被害が広がった以上、航空機や船舶に紛れ込んだ蚊や、検疫を受けずに輸入される鳥類などによって、西ナイルウイルスが日本に入ってくるのは秒読み段階。蚊の活動が活発化する夏が危ない」と危機感を強めており、国内でも、カラスの異常死を把握することでウイルス上陸を早期発見することにした。
各都道府県が、保健所や交番などに寄せられたカラスの死亡情報を収集し、異常が見られた場合は国に早急に報告するとともに、感染の有無を確認する。カラスの感染が確認された場合、周辺地域の蚊の駆除と、地域住民への注意喚起を徹底する。
厚労省は、東京都と神奈川県内の公園など計19か所で、定期的なカラスの死亡調査を開始しており、こうした「定点監視地点」を全国に拡大したい考え。
カラスの異常死をめぐっては、昨年10月に神奈川県綾瀬市の墓地やその周辺で80羽以上の死体が見つかる“事件”があり、同省が急きょ、ウイルス検査に乗り出すという緊迫したケースがあったが、死体からウイルスは検出されなかった。何者かによる毒殺とも疑われており、同県警で調べている。
◆西ナイルウイルス 1937年、東アフリカのウガンダで発見された。鳥の体内で増殖し、その鳥の血を吸った蚊が他の鳥や人間を刺して感染が広がる。感染しても大半は自覚症状がなく、自然に治ってしまうが、150人に1人の割合で脳炎を発症する。治療はステロイド剤の投与など脳炎を抑える対症療法が主体。人から人へは通常は感染しない。(1月4日14:52)
http://www.yomiuri.co.jp/04/20030104i406.htm