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ニューヨーク 3月10日(ブルームバーグ):米株式相場のバブル崩壊3周年を祝うのはどんな方法が最もふさわしいだろうか。
米ナスダック(店頭市場)総合指数が5132.52と、日中の史上最高値を付けたのは2000年3月10日のことだった。同日のブルームバーグ株式見通しコラムのタイトルは「コンピューター株は見かけより割安」で、株価収益率(PER)でみるとパソコン大手のデルコンピュータは清涼飲料水のコカ・コーラより割高だが、デルの高成長率見通しからすれば買い時との理論を展開した。
同年初めから5割上昇の半導体株も、同様の理論で製薬株より安いと論じられた。短・長期的にハイテク株に妙味ありと語るファンドマネジャーもいたが、翌11日にナスダック総合指数の下落が始まったことからすると、ごくごく短期の見通しを立てていたのかもしれない。
結局、こうした強気見通しはお粗末な結果に終わった。調査会社トムソン・ファイナンシャルによると、ダウ・ジョーンズ半導体指数構成銘柄の2001年第1四半期(1−3月)純利益は前年同期比42%減に対し、製薬株は同17%増益。過去3年間、フィラデルフィア半導体指数は78%下落したのに対し、S&P製薬株指数は9%下落にとどまっている。
新旧エコノミー
3月10日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルのコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」は、ナスダック指数を6000ポイントに導く業種は何かを論じている。そのなかで、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッターのポラット氏はインターネット関連株が引き続き株価上昇を引っ張ると予想した。 2000年3月10日時点での年初来騰落率は、ダウ工業株30種平均がマイナス13%、S&P500種がマイナス5.1%に対し、ナスダック指数はプラス24%だった。
アナリストは、従来型産業と新時代のハイテク株との株価動向の開きは、金利上昇に伴う影響は前者の方が大きいという投資家懸念を反映したものだと説明した。1999年6月から2000年3月10日までには合計1ポイントの利上げが行われていた。株式ストラテジストは、バブルの最中には新興企業は借り入れの必要がないため金利上昇の影響を受けにくいとの理論を展開し、金利動向は借り入れコストだけの問題でないということはどさくさに紛れて忘れられてしまった。
ハイテク株信仰
そして、ハイテク株の広告塔ともいうべきジム・クレーマー氏が登場する。ヘッジファンドのマネジャーからテレビのトーク番組のホストに転身した同氏は2000年2月29日に開催された会議の基調演説で、アリバ、インクトミなど 10銘柄を買い推奨するとともに、「ネット関連、経済のなかでそれだけが重要だ」と主張した。同氏は2000年もナスダックは過去最高値で引けると予想し、「買い推奨銘柄のほとんどは1株利益もないから、四半期ごとに通常の分析手続きに煩わされることはない」と説明した。従来の株価純資産倍率(PBR)などによる企業分析がどうして煩わしいだろう。バブル崩壊を10日後に控えていたこの日、クレーマー氏はほかの人と同様、足元が見えていなかったのだ。
株式バブルに参加したとはいえなくても、手は貸した人物に言及しないで、この議論を終わらせることはもちろんできないだろう。グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は2000年3月6日に、情報技術革新を賞賛し、投資により高い収益率が続くと予想、「こうした機会が近々消滅することを示唆するものはない」と語った。
FRB議長も例外ではなかったのだ。あれから3年が過ぎ、企業の投資がようやく戻り始めつつあるなか、バブルには「予防に勝る薬なし」との思いがますます募る。(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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