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世界同時株安の様相を呈するなか、竹中平蔵氏(左下)と日銀総裁になる福井俊彦氏はどうする?
イラクと北朝鮮情勢の緊迫化に伴い、世界同時株安が進行する。11日の東京株式市場も、平均株価が「日本経済の生命線」とされる8000円どころか、7900円も割り込んだ。大手銀行の含み損は昨年9月末から倍増して6兆円にも達し、巨額増資の効果も吹っ飛び、一般企業の決算にも深刻なダメージとなる。期末決算を前に、「3月危機」再燃で政府・日銀は泥縄式の緊急株価対策の検討に入ったが、市場の視線は冷ややかだ。
【地政学的リスク】
20年ぶりの安値となった10日の東京市場の株安を受け、同夜のロンドン株式市場も急落し、7年8カ月ぶりの安値で終了。ドイツのフランクフルト市場も7年2カ月ぶりの安値をつけた。
ニューヨーク株式市場も、5カ月ぶりの安値水準に急落した。米国の黄金の90年代の象徴だったハイテク中心のナスダックは、3年間で4分の1に目減りした。
開戦時期など不透明感を増すイラク情勢が嫌気されているうえ、米国が攻撃に踏み切っても、原油価格の急騰やテロ再発懸念が高まるうえ、「米国の財政・貿易の双子の赤字が拡大し、世界経済の重しとなる」(外資系証券アナリスト)との見方が広がる。
10日の東京市場でも、「北朝鮮の地対艦ミサイル再発射」の情報とほぼ同時に8000円割れ。安全保障上のリスクにおびえる投資家の姿が浮き彫りとなっている。
深刻なデフレ不況が続き、景気回復を輸出など外需に求めるしかない日本へのダメージも日増しに深刻になっている。
海外の機関投資家が資金を引き揚げているとの指摘も根強く、厚生年金の代行返上の換金売りや、持ち合い解消売りなど日本独自の問題も株安の要因となっている。
【3月危機再燃】
2兆円を上回る巨額増資で「3月危機」を乗り切ったかのように見えたメガバンクの尻に、再び火がついてきた。
大和総研の試算などによると、含み損は昨年9月末の約2兆8000億円から、10日時点で約6兆円に倍増。大手行が1年間で稼ぐ業務純益4兆円がすべて消えてしまう。
巨額増資も「株価8000−8500円を想定している」(大手行関係者)おり、さらに株価が下落すれば赤字の拡大や追加増資を迫られる。
銀行株安のとばっちりを受けているのが、銀行株を保有する一般企業である。大和総研の試算では、東証上場企業の株式含み損は3兆5000億円を突破しており、そのうち45%は銀行株の下落によるものだという。
銀行との株式持ち合い関係が強い電機業界の含み損は5454億円。商社も3614億円に達している。
三菱東京を除くメガバンクの株価は、昨年3月末から半値以下となっているため、3月決算で損失処理を迫られ、利益が吹っ飛んでしまう。
企業にとっては、銀行株を売ると、さらに株価が下がる。銀行との関係もあって「売るに売れない」のが実情である。
「優越的な立場」で融資を盾に取引先企業に増資引き受けを迫ったメガバンクもあるようだが、銀行に産業界全体が振り回される構図である。
【官製株価操縦】
政府・日銀はこの期に及んで緊急対策案を次々とブチ上げ始めた。
財務省は、1日あたり最大で1兆円規模の円売り介入を検討する。
日銀は、国債買い取り上限の撤廃や、ETF(株価指数連動型上場投資信託)の購入、銀行保有株の買い取り枠(2兆円)の拡大、東証は企業の「自社株買い」規制の大幅緩和の検討に入る。
「ETFは絶対もうかる」と語る竹中平蔵金融・経済財政担当相も、16年9月中間決算からの導入が予定される銀行の株式保有制限の延期に含みを持たせている。
日興ソロモン・スミス・バーニーの株価操縦が指摘されたが、政府・日銀の対策も負けず劣らずの強引さである。
それにしても、世界経済の悪化や米国のイラク攻撃などは昨年から誰もが知っていたこと。なぜ土壇場まで何もしないのか理解に苦しむ。
「特に銀行が狙われている。行儀の悪い取引はやめてほしい」
塩川正十郎財務相は怒りの矛先を証券市場に向けるが、メガバンク株が狙い打ちされたきっかけは、竹中氏の恫喝(どうかつ)政策以外の何者でもない。
円高・株安・債券高を招いたのは、政府・日銀自身なのである。
UBSウォーバーグ証券チーフエコノミストの白川浩道氏は「日本経済のボトルネックは、金融危機宣言しない政府である。場当たり的な対応で3月を乗り切っても、結局は株安はじりじりと進む」と指摘する。
カラ売り規制が功を奏したとはいえ、昨年も一昨年も場当たり的な株価対策で3月期末をやり過ごしたが、目先をごまかすだけの手法は結局、さらなる株安を招いた。
来週20日には“プリンス”福井俊彦氏が日銀新総裁に就任するが、これまでの日銀路線の継承では、この難局は乗り切れない。さて、どのような手を打つのか。
【水増し“清算”】
不良債権処理加速や株安など、銀行資本を襲う「四重苦」のうち、「資本の水増し」と批判が強い税効果会計が今期からの厳格化されるため、銀行は大打撃を受ける。
銀行は融資が回収不能に陥る場合に備え、貸し倒れ引当金を有税で積んでいる。この時に納めた税金のうち、融資先企業の破綻(はたん)などで将来戻ってくる可能性が高い分は、「繰り延べ税金資産」としてあらかじめ資本に一定額を組み入れることができる。
これが税効果会計と呼ばれる制度で、銀行担当アナリストは言う。
「繰り延べ税金資産として資本に組み込める額は、その銀行が向こう5年間に見込む納税額の範囲内。5年間の収益を甘く見積もれば、それだけ多額の繰り延べ税金資産を組み入れることができる。実際にそのような例が目立ち、それを是正するのが今回の措置だ」
早い話、繰り延べ税金資産を過大計上することで水ぶくれした銀行資本を、監査の厳格化で本来の姿にスリム化しようというもの。銀行の資本は当然、従来よりかなり、やせ細ることになる。